海上保安レポート 2019

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 増大する危機に立ち向かう


目指せ! 海上保安官


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

特集 増大する危機に立ち向かう > 3 海上保安を仕事にする > ワークライフバランス 〜仕事と私生活の両立〜
特集 増大する危機に立ち向かう
特集3 海上保安を仕事にする
ワークライフバランス 〜仕事と私生活の両立〜
海上保安官だってイクメンの時代!! 性別、役職を超えて、仕事と家庭は両立が当たり前! 海保にはその環境があります!

海上保安庁の業務は、24時間365日休むことができません。しかしながら、職員のワークライフバランスに配慮するため、育児や介護を配偶者等のパートナーとともに分担しながら、仕事と家庭を両立できる環境を整備しています。

24時間体制での事案対応という当庁の体制を維持しつつ、職員1人1人が抱える事情に応じた仕事と家庭の両立支援制度の利用を推進しています。


男性職員の妻の出産時の特別休暇取得

第三管区海上保安本部 横浜海上保安部 巡視船いず 航海士補
原田 雄平

原田 雄平-1
原田 雄平-2

私は、巡視船乗組員として、そして、潜水士として、海難救助業務等に対応しています。そのため、昼夜を問わない海難への対応がありますが、支えとなり活力の土台となるのは家族の存在です。いつも支えてくれる妻への恩返しや子供と時間を一緒に共有したいという思いから、両立支援制度を活用して配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇取得を考えました。

理解ある上司や職場環境にも恵まれ、快諾をいただき10日程休暇をいただきました。休暇取得中は時間的にも心にも余裕が生まれ、妻のケアや長女と公園で一緒に遊ぶことに全力を注ぐことができました。

父親としての役割や妻への感謝を再認識し、新しい命の誕生という感動的な瞬間に立ち会うことができ、とても幸せになります。


第六管区海上保安本部 尾道海上保安部 巡視艇みちなみ 機関士補
重富 俊介

重富 俊介-1
重富 俊介-2

私は、機関士補として機関科作業に従事すると共に、警備救難業務や航路しょう戒業務を遂行し、月間数回の1泊2日の勤務もあります。平成30年10月、第1子が生まれた際に「配偶者出産休暇」と「育児参加のための休暇」を取得しました。結婚当初、私と同じ九州出身の妻が地元で働いていたため、妻とは離れて暮らしており、妻が妊娠してからも上司や同僚に帰省等の相談をして、今回、両立支援制度による休暇を取得することにしました。

今回、妻の出産が予定より早まる等の思わぬ事態があったものの、特別休暇を取得できたことで、無事、出産に立ち会うことができました。この休暇制度を利用するにあたり、理解ある上司、同僚のおかげで、配偶者としての責任を果たすとともに、掛け替えのない時間を家族と共に過ごすことができたことを大変感謝しています。


時短勤務(育児時間勤務)

第五管区海上保安本部 大阪海上保安監部 救難係
平野 加奈

平野 加奈-1
平野 加奈-2

私の主な業務は、テロ対策や密輸・密航事犯の取締りで、外国船舶への立入検査や、監視取締艇に乗船して巡視警戒といった業務も行っています。

私には保育園に通う3歳の息子がいますが、保育園の送迎のために育児時間制度を利用しています。育児時間制度とは、小学生未満の子供を育てる職員が一日につき2時間まで勤務を免除できる制度で、私は勤務時間の前後にそれぞれ30分ずつ利用し、その時間を息子の保育園の送迎にあてています。

育児時間制度のおかげで、息子の通園準備や帰宅後の家事など、時間に追われることなく充実した生活を送っています。仕事と育児の両立は大変なこともありますが、子供の成長が仕事へのエネルギーになり、仕事で得られる達成感も大きくなりますので、良いこともたくさんあります。今後も、仕事も育児も楽しみながら成長していきたいです。


第六管区海上保安本部 船舶技術部 技術課 船舶工務官
藤原 一真

藤原 一真-1
藤原 一真-2

2人目の子供(長男)が生まれ、妻の負担軽減のため、また、妻のご両親への負担が増えないように、妻と相談して、時短勤務を取得する決断をしました。その後、上司に相談したところ家庭の事情をよく理解していただき、快諾してもらいました。

1ヶ月間午前勤務することとし、午後は妻が病院等に行く際のサポートをしたり、長女の面倒を見ることで、妻は長男の世話に専従できるようになっていたと思います。職場では課内の職員にワークシェアしていただいたお陰で業務が停滞することはありませんでした。時短勤務させてもらった結果、長女が懐くようになり、今では出勤時泣かれるくらいです(笑)。家族のつながりが一段と強くなったと実感しています。私は船舶技術部の勤務が2年目であったため、業務手探り状態の1年目とは異なり、上司にもより相談しやすい環境にあったのかもしれませんが、この制度を活用して本当に良かったです。


育児休業

第九管区海上保安本部 新潟航空基地 整備員
大須賀 沙織

大須賀 沙織-1
大須賀 沙織-2

現在は新潟航空基地の整備員として、航空機に搭乗し、空から犯罪の取り締まりや、人命救助を行ったりする他に航空機の整備も行っています。

そんな中で、今の夫と職場で出会い、海上保安官同士で結婚し、子宝にも恵まれました。上司や同僚のサポートもあり、負荷の大きな作業を免除していただくなど、出産の1ヶ月前まで無理なく仕事をすることができました。

現在は育児休業制度を利用し、一度職場から離れ、子育てに専念することができています。夫も子供がかわいいのか、できるだけ家にいる時間を長くしようと、出勤の際は時間ギリギリに家を出発して、夕方も仕事を早めに切り上げて帰ってきてくれます。今後子育てが一段落したら、また大好きな航空機の整備に携わりたいと思っており、少しずつ職場復帰に向けた準備をしています。海上保安庁は男の職場と思われるかも知れませんが、公務員としてのサポート体制がしっかりしているので、「女性だから」と一歩が踏み出せない人も安心してください。是非一緒に日本の海を守りましょう。


第十一管区海上保安本部 救難課長
松永 直人

松永 直人-1
松永 直人-2

私は、夫婦ともに「仕事を続けたい!」という希望があったため、妻の育児休業終了・復職(民間企業)と交代する形で、1年間の予定で育児休業を取得しました。管区本部課長という管理職の立場ではありましたが、早い段階から上司や担当者と相談し、職場の理解と協力もあって、スムーズに長期休業に移行することができたことに感謝しています。

それまでの単身デスクワークから主夫となり、生活の激変に戸惑いもありましたが、日々成長する子供たち、家族と常に一緒に居られる時間は非常に貴重な経験だと感じています。また、妻や周りの人達の苦労も少なからず理解でき、何より、休業し育児に専念したことで「育児に対する強い当事者意識」も芽生えたように感じます。

男性の長期育児休業はまだまだ少数かと思いますが、この制度が当たり前のこととして浸透していくよう、今後の自身の業務とともに、制度の推進、職場環境作りにも尽力できればと思います。


第十一管区海上保安本部 那覇海上保安部 巡視船のばる 航海長
後藤 大輔

後藤 大輔-1
後藤 大輔-2

私は、平成30年4月から、那覇海上保安部所属の「巡視船のばる」に、航海長として乗組んでおります。

本船は、担任水域のしょう戒や取締り、離島地域における安全指導のほか、昼夜を問わず発生する事件・事故に対応しています。夜間・休日に出動する場合もあり、業務や事案によっては、三日ほど家に帰れないことがあります。

私は、妻の出産に伴い、「配偶者出産休暇」及び「育児参加のための休暇」を取得し、出産に立ち会うことができました。また、子が生まれてから、二ヶ月間の育児休業を取得しました。

私は、育児休業によって、母親の大変さを知ることができ、子供の日々の変化を感じ成長を間近で実感できました。私は家族の支援があって仕事に取り組めていますが、支援してくれる家族について今まで以上に理解できたことに育児休業の意義があると感じています。


テレワーク

本庁総務部 人事課 人事企画調整官
工藤 大介

工藤 大介

海上保安庁の仕事とテレワーク?なかなか結びつかないとは思いますが、海上保安庁には多くの職種がありますので、職場以外の場所でできる仕事もあります。私は今、働きやすい職場環境を作るなど、人事関連の仕事をしていますが、職場以外の場所で仕事をするテレワークに適した職種だと思っています。海上保安庁では本庁において、テレワークの試行を実施しています。私も試行に参加しましたが、通勤から解放され、集中して仕事ができるほか、特に育児中・介護中の方でも、テレワークを活用して仕事ができると思っています。このように、海上保安庁でも1人1人のニーズに合わせた多様なワークスタイルが広がってきています。