海上保安レポート 2017

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 平和な海の継承〜海上保安庁の使命〜


海上保安官の仕事


海上保安庁の 任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

海上保安庁の任務・体制 > Column vol.02 巡視船「おしか」解役 〜大津波を乗り越えて〜
海上保安庁の任務・体制
Column Vol.02
巡視船「おしか」解役 〜大津波を乗り越えて〜
宮城海上保安部

平成28年1月、数々の任務に従事した巡視船「おしか」が、多くの関係者に見送られ、海上保安業務を引退しました。

巡視船「おしか」は、昭和55年10月、第十一管区海上保安本部巡視船「くにがみ」として就役し、平成21年2月に宮城海上保安部へと配属替となり、船名を「まつしま」に、そして平成26年には「おしか」にそれぞれ改め、35年間にわたり広大な海域のパトロールにあたるとともに、海上における治安の維持、犯罪の取締り、海難救助等の海上保安業務に日夜対応してきました。

平成23年3月11日午後2時46分、国内最大級のマグニチュード9.0を観測した東日本大震災が発生し、福島県相馬沖でしょう戒中であった「まつしま」(当時)は、津波に備えて、ただちに安全な海域に進出するため、進路を沖へと向けました。

同日午後3時49分頃、「まつしま」は高さ約10mにも及ぶ大津波に遭遇しましたが、船長指揮のもと乗組員が一丸となり大津波を乗り越え、行方不明者捜索や支援物資輸送等に全力を尽くしました。

大きく揺れる船内で乗組員が撮影した、壁のような大津波を乗り越える映像は世界中で報道され、津波襲来を伝える貴重な映像となりました。

その後も尖閣諸島周辺海域における領海警備や小笠原諸島周辺の外国漁船による違法操業の取締りにあたるなど、わが国の海の安心と安全を守り続け、総航海距離は地球約27.5周分に相当する約111万kmにも及びました。

巡視船「まつしま」(当時)に迫る津波
巡視船「まつしま」(当時)に迫る津波

解役後、「おしか」は解体されることになりましたが、大津波を乗り越え、行方不明者捜索等に全力を尽くした「おしか」の活躍を東日本大震災の記録として次代の子供たちへ伝えるため、「おしか」の錨を塩竈市に譲与しました。

譲与した錨は、千賀の浦緑地公園(宮城県塩竈市)に展示・保存されています。


レーダーに映った津波(立て筋)映像
レーダーに映った津波(立て筋)映像
解役直前の巡視船「おしか」(宮城県塩釜港)
解役直前の巡視船「おしか」(宮城県塩釜港)