海上保安レポート 2013

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 領海・EEZを守る海上保安庁


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

7 海をつなぐ > CHAPTER1 関係国との連携・協力
7 海をつなぐ
CHAPTER1 関係国との連携・協力

海を巡る問題には、一国では解決することが困難なものが多く存在し、これらの問題に対しては、海でつながれた諸外国と連携・協力して対処することが極めて重要です。海上保安庁では、諸外国の海上保安機関との連携・協力を図っています。

多国間での連携・協力
1 北太平洋海上保安フォーラム

北太平洋海上保安フォーラムは、北太平洋地域の6か国(日本、カナダ、中国、韓国、ロシア、米国)の海上保安機関の代表が一堂に会し、北太平洋の海上の安全・セキュリティーの確保、海洋環境の保全等を目的とした各国間の連携・協力について協議する多国間の枠組みであり、海上保安庁の提唱により、平成12年から開催されています。

このフォーラムは、長官級会合である「サミット」と実務者による「専門家会合」で構成されており、平成24年3月には、第13回専門家会合が中国で開催されました。

また、この枠組みにおける最近の連携・協力の具体的な取組みとしては、平成24年8月に、韓国において大規模な捜索救助活動をテーマに多国間多目的訓練を実施し、セミナーや机上訓練を通して各国が互いの救難体制について相互に理解を深めるとともに、机上訓練で得た教訓を次回会合の議論で反映することとしたほか、平成24年9月には、海上保安庁の航空機を派遣し、米国沿岸警備隊の巡視船との連携により、北太平洋での漁業監視共同パトロールを実施しました。


2 アジア海上保安機関長官級会合
アジア海上保安機関長官級会合
▲アジア海上保安機関長官級会合

アジア海上保安機関長官級会合は、世界的にも最も重要な海上交通路であるマラッカ・シンガポール海峡等を抱えるアジアの17か国・1地域の海上保安機関の長官級が一堂に会して、アジア地域における海上保安行政に関する地域的な連携強化を図ることを目的とした多国間の枠組みであり、海上保安庁の提唱により、平成16年から開催されています。

平成24年10月には、第8回長官級会合がインドで開催され、この枠組みにおける今後の実践的な連携・協力策として、アジアの海上保安機関が直面している喫緊かつ共通の課題である「捜索救助」、「海洋環境保全」、「大規模自然災害への対応」、「海上不法活動の予防・取締り」及びこれらの分野に対応するために必要な「海上保安能力向上」という5つの分野に主体的に連携して取り組んでいくことに合意しました。今後、各メンバー国が積極的にこれらの活動に取り組んでいくこととしています。

二国間での連携・協力
1 韓国との連携・協力

海上保安庁と韓国海洋警察庁は、海域を接する両国間における海上の秩序の維持を図り、幅広い分野での相互理解・業務協力を推進するため、平成11年から毎年、日韓海上保安当局間長官級協議を開催しています。

平成24年6月には、第14回長官級協議を東京で開催し、両機関の良好な協力関係を高く評価するとともに、各分野での相互協力を引き続き行っていくことを確認しました。

このほか、地方機関間での合同訓練を実施しており、平成24年10月には、第八管区海上保安本部と韓国東海地方海洋警察庁が、同年11月には、第七管区海上保安本部と韓国南海地方海洋警察庁が日韓合同捜索救助訓練を実施し、捜索救助分野での連携・協力の強化を図りました。


2 ロシアとの連携・協力
日露合同訓練
▲日露合同訓練

海上保安庁とロシア連邦保安庁国境警備局は、海上における密漁、密輸・密航等の不法活動の取締り等に関する相互協力について協議するため、平成12年から、原則毎年1回、日露海上警備機関長官級会合を開催しています。

平成24年6月には、第11回長官級会合を東京で開催し、以後、地方レベルでの交流の拡大を図りつつ、日露間で幅広い協力を確実に実施し、良好な関係を維持・発展させていくことで一致しました。

また、この会合に合わせ、第一管区海上保安本部とサハリン沿岸国境警備局との間で、海難救助、密輸容疑船捕捉に関する合同訓練を北海道小樽市で実施し、日本において初めて両国長官が揃って訓練を視察しました。


3 インドとの連携・協力
日印海上保安機関長官級会合
▲日印海上保安機関長官級会合

海上保安庁とインド沿岸警備隊は、平成11年に発生した「アロンドラ・レインボー号事件」においてインド沿岸警備隊が海軍と連携して海賊を確保したことを契機に、平成12年に開催された長官級会合において両長官の定期的な相互訪問に合意して以降、原則毎年1回、長官級会合や連携訓練を実施しています。

平成24年11月に東京湾羽田沖で連携訓練を実施するとともに、平成25年1月には海上保安庁本庁において日印海上保安機関長官級会合を開催しました。同会合においては、平成24年1月の長官級会合において合意されたインド近海におけるソマリア海賊対策(必要なしょう戒や連携訓練等)について、引き続き日印両国が着実に取り組んでいくとともに、西インド洋沿岸国等に対する海上法執行能力向上への支援について日印両機関が連携強化を図っていくことや、アジア海上保安機関長官級会合における具体の取組みについて両機関が積極的にリーダーシップを発揮していくことに合意しました。

「大規模自然災害時における海洋情報業務の重要性に関する国際セミナー」の開催
大規模自然災害海洋情報業務セミナー(測量船見学)
▲大規模自然災害海洋情報業務セミナー(測量船見学)

海上保安庁は、東日本大震災からの復興に向けて、航路復旧や海図の最新維持等の対応を行いました。平成24年8月、海洋政策研究財団の協力のもと、東アジア諸国の海図作成機関幹部を招へいし、これらの対応事例の共有を図り、各国の災害時行動計画の策定や国際協力の枠組み作りに資することを目的として、「大規模自然災害時における海洋情報業務の重要性に関する国際セミナー」を開催しました。

このセミナーでは、災害発生時の海洋情報業務の重要性に関して、国際水路機関(IHO)の災害対応や東日本大震災における海上保安庁の対応に関する講演が行われるとともに、災害発生時の必要な対策や支援、隣接国の相互協力等について検討するため、スマトラ沖地震被災国の対応に関して検討が行われたほか、東日本大震災の被災地や海上保安庁測量船の視察が行われました。