海洋は、海運や漁業、資源開発、マリンレジャーなど様々な目的で利用されているため、それぞれの目的によって必要となる情報が異なります。海上保安庁では、海洋調査により得られた多くの海洋情報を基に、それぞれの目的に合わせ、ユーザーの利用しやすい形での情報提供に努めています。
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5 海を知る
CHAPTER2 海洋情報の提供
海洋は、海運や漁業、資源開発、マリンレジャーなど様々な目的で利用されているため、それぞれの目的によって必要となる情報が異なります。海上保安庁では、海洋調査により得られた多くの海洋情報を基に、それぞれの目的に合わせ、ユーザーの利用しやすい形での情報提供に努めています。 1 海図等の作製・刊行
海上保安庁では、船舶の安全航行に必須となる海図や航海用電子海図等の作製・刊行を行っています。平成24年には、海洋調査により得られた最新データを基に、海図(新刊8図、改版62図)や水路誌(新刊2冊、改版8冊)等を、電子海図表示システム(ECDIS)で利用できる航海用電子海図(ENC)については、新刊セルを14セル刊行しました。
海図に東京スカイツリー!?
海図には、灯台や岬、島の名前など海に関する膨大な情報が掲載されていますが、実はそれだけではないことをご存知でしょうか? 実は海図には、船舶が航行の際に目標とする顕著な物標も掲載されているのです。 このため、平成24年5月に完成した高さ634mの東京スカイツリーも、顕著な物標として平成24年6月、海図に掲載されました。ちなみに東京タワーも海図に掲載されており、両タワーは陸上からだけでなく、海上からも多くの人の目を惹きつけているのです。
2 海洋情報の利活用活性化のために
海洋情報は、海洋の資源開発や船舶の安全航行、漁業やマリンレジャーを行う際の安全確保等様々な目的で利用されています。このため、その目的に応じ、ユーザーが利用しやすい形で情報提供することが非常に重要となっています。 このため、海上保安庁は、日本海洋データセンター(JODC)として、海上保安庁が収集した情報だけでなく、国内の海洋調査機関によって得られた海洋情報を一元的に収集・管理し、インターネット等を通じて提供を行っています。また、国の関係機関が保有する様々な海洋情報の所在について、一元的に検索できる「海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)」を運用しています。これに加え、平成24年5月からは、海上保安庁が保有する自然情報(海底地形や海流等)・社会情報(訓練区域や漁業権区域等)をビジュアル的に重ね合わせ、インターネット上で閲覧できる、海洋台帳(海洋政策支援情報ツール)の運用を開始しました。重畳させる情報はユーザーが任意に選択することができ、様々な目的に合わせた使い方をすることができるため、洋上風力発電の設置場所の選定や新たなビジネスの創出の検討等にも利用できるものとして期待されています。
引き続き、海洋調査によって得られた最新データを基にして、海図等水路図誌を刊行していきます。 また、JODCや海洋情報クリアリングハウス(マリンページ)、海洋台帳(海洋政策支援情報ツール)を運用するとともに、政府機関や関係団体等との連携を一層強め、掲載情報の拡充や機能の強化に努め、海洋情報の幅広い利用を推進していきます。 海洋台帳(海洋政策支援情報ツール)とは
一口に海洋情報と言っても海底地形や水深、水温といった「海洋情報」、航路、漁業権設定区域、港湾区域といった「社会情報」、湿地、干潟、海水浴場、海底障害物といった「環境情報」、航路標識(灯台等)、海上構造物といった「インフラ情報」など、様々な情報が存在します。 「海洋台帳(海洋政策支援情報ツール)」は、こうした様々な情報を、地図上に重ねて表示することができるインターネットサービスです。ユーザーは、目的に応じて、様々な情報を、自由に組み合わせて図を作ることができます。掲載している情報は100項目以上、その組み合わせは多種多様であり、今までにない視点で海洋を捉えることができます。 一義的には、海洋再生可能エネルギーの推進といった海洋開発や環境保護、防災、教育といった場面での活用を想定していますが、用途を限定するものではなく、ユーザーの皆さんが自由な発想で使っていただきたいと考えています。 今後も、掲載する情報の拡充や機能強化等を行い、より皆さんの使いやすいツールへと発展させてゆく予定です。 ぜひ一度、以下のアドレスへアクセスしてみてください!
日本の「海」について
四方を海に囲まれた我が国は、国土面積でいうと世界第61位にしかすぎませんが、領海とEEZを合わせた面積は国土面積の約12倍の広さを有しています。 また、平成24年4月には、我が国が行っていた大陸棚の延長申請に対し、国連大陸棚限界委員会から、我が国の国土面積の約8割に当たる面積の大陸棚の延長を認める勧告が発出されました。 海洋国家である我が国は、貿易や漁業によって、その恩恵を得る一方、密輸・密航といった海上犯罪や海難の発生、領土や海洋資源の帰属に関する国家間の主権主張といった様々な問題にも対応していく必要があります。
1 低潮線
干満により、海面が最も低くなったときに陸地と水面の境界となる線です。 2 領海
沿岸国は、国連海洋法条約に基づき、領海基線から12海里を超えない範囲で、自国の主権が及ぶ水域として「領海」を設定しています。沿岸国の主権は、領海の上空、海底及び海底の下にまで及び、沿岸国は漁業や資源採掘の独占権を有します。また、全ての国の船舶は、無害通航権*が認められています。 *:沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、沿岸国に妨げられることなくその領海を通航する権利。 3 接続水域
沿岸国は、領海に接続する水域で、領海基線から24海里を超えない範囲で、接続水域を設定することができます。同水域では、自国の通関、財政、出入国管理、衛生に関する一定の規制を行うことができます。 4 排他的経済水域(EEZ)
沿岸国は、国連海洋法条約により、領海の外側で領海基線から200海里を超えない範囲でEEZを設けることができます。同水域では、沿岸国に対して、一切の漁業及び鉱物資源に対する排他的な主権的権利と海洋汚染を規制する権限等が認められています。 5 公海
いずれの国のEEZ、領海もしくは内水またはいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分です。特定の国の主権に属さず、世界各国が共通に使用し得ます。 6 深海底
いずれの国の管轄権も及ばない海底の部分です。人類共同の財産であるとされています。 7 大陸棚
国連海洋法条約では、沿岸国は領海基線から200海里までの海底及び海底下を「大陸棚」とするとともに、海底の地形・地質が一定の条件を満たす場合、国連の勧告に基づき、200海里を超えて大陸棚の限界を設定することが可能とされています。大陸棚では、沿岸国に対して、天然資源の開発に係る主権的権利等が認められています。 8 領海基線
9 内水
海洋情報フォーラムの開催
元海上保安庁海洋情報部長がアジア初となるアレクサンダー・ダルリンプル賞を受賞!
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