今後の発生が懸念される東海・東南海・南海地震、首都直下地震等の大規模災害に対しては、迅速かつ的確に災害対応を行い、被害を局限化することが重要です。
海上保安庁では、東日本大震災の教訓を踏まえ、巡視船艇・航空機の整備や救難・防災資器材の整備等を推進し、防災体制の強化を図ることとしています。
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特集 東日本大震災 ― 海上保安庁の対応と今後の対策 ―
III 大震災を乗り越えて
4.東日本大震災の教訓を踏まえた防災体制の強化
今後の発生が懸念される東海・東南海・南海地震、首都直下地震等の大規模災害に対しては、迅速かつ的確に災害対応を行い、被害を局限化することが重要です。 海上保安庁では、東日本大震災の教訓を踏まえ、巡視船艇・航空機の整備や救難・防災資器材の整備等を推進し、防災体制の強化を図ることとしています。 1 巡視船艇の整備
大震災時において、広域かつ大規模な救出救助活動や被災者支援活動を迅速かつ的確に実施するため、えい航能力、輸送能力、給水能力等の災害対応能力を強化した1,000トン型巡視船を整備することとしています。
40年以上前のコンセプトで建造された消防船艇は、老朽化が著しく、今後想定される大規模災害への十分な対応が困難です。 迅速な現場到着のための高速性能や効率的な消火のための高い操縦性能等を備えた35メートル型巡視艇(消防型)を整備することとしています。
2 救難・防災資器材の整備
潜水作業時間を拡大し、より長時間・広範囲の水中捜索を行うことができる新型の潜水資器材を整備するほか、原子力災害対応資器材を整備するなど、現場第一線の救難・防災能力の向上を図ることとしています。
3 航路標識の防災対策
地震や台風といった自然災害に伴う航路標識の倒壊や消灯等を未然に防止するため、航路標識の耐震補強、航路標識用電源の自立型電源化(太陽電池化)等を推進することとしています。
我が国の防災体制
◆ 災害対策基本法
「災害対策基本法」は、昭和36年に制定された、我が国の災害対策の基本となる法律であり、その概要は次のとおりです。 (1) 防災責任の明確化 国、地方公共団体、指定公共機関は、防災計画を策定し、それを実施するとともに、相互に協力するなどの責務があり、住民等にも、自らの災害への備え等の責務が規定されています。 (2) 防災に関する組織 災害対策の総合調整機関として、国、都道府県、市町村それぞれに、中央防災会議*1、都道府県防災会議、市町村防災会議を設置することとしています。 災害発生又はそのおそれがある場合は、都道府県又は市町村に災害対策本部を設置することとしています。さらに、大規模災害の場合には、国においても、非常災害対策本部(本部長:防災担当大臣)や緊急災害対策本部(本部長:内閣総理大臣)を設置して対策を推進します。 (3) 防災計画 中央防災会議は、我が国の災害対策の根幹となる防災基本計画を定め、これに基づき、各指定行政機関*2及び指定公共機関*3にあっては防災業務計画を、都道府県及び市町村の防災会議にあっては地域防災計画を策定することとしています。 (4) 災害対策の推進 災害対策は、災害予防、災害応急対策(災害の防御・拡大防止)、災害復旧の段階ごとに、実施責任主体の果たすべき役割や権限が規定されています。 *1 : 内閣府に設置され、内閣総理大臣を会長とし、全閣僚、指定公共機関の代表者及び学識経験者により構成。 *2 : 国の防災関係機関として、海上保安庁を含む24の中央省庁が指定。 *3 : 防災関係の公的機関として、日本銀行、日本赤十字社、NHK、NTTをはじめ、運輸、電力、ガス等の機関が指定。
◆ 災害応急対策
災害が発生すれば、国や地方公共団体は、被害状況等の情報を収集・分析し、避難勧告、救助救急、消防、緊急輸送などの災害応急対策を実施します。 国では、災害発生後直ちに、関係省庁の局長級職員が首相官邸に緊急参集して、被害状況を把握・分析し、速やかに内閣総理大臣に報告して、災害対策本部の設置や対処方針等を決定します。大規模災害の場合には、海上保安庁、警察庁、消防庁等による広域的な応援や自衛隊による災害派遣が実施されます。 また、被災地に政府調査団を派遣して、詳しい状況を調査したり、被災地に国の現地対策本部を設置することもあります。
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