海上保安庁は、幅広い分野において、業務に必要な技術・技能を有しています。これらを活かし、国際社会に貢献するため、様々な国際機関、国際的枠組みにおける会合等に積極的に参画しています。
1 国際海事機関(IMO)における取組み
IMOは、海上における安全及び海洋汚染の防止等の海事問題に関する国際協力を促進するための、国連の専門機関です。
平成23年度には、海上安全委員会、海洋環境保護委員会、航行安全小委員会等に海上保安官を派遣し、海上における安全及び治安の確保に資する積極的な発言を行いました。海上保安庁では、今後もIMOにおける取組み等に積極的に貢献していきます。
2 国際水路機関(IHO)における取組み
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▲国際的な海図専門家の育成プロジェクト研修 |
IHOは、海図や水路図誌等の改善により、全世界の航海をより安全にすることを目的として1970年に設立された国際機関です。現在80か国が加盟し、海図作製仕様の統一等に関する活動を行っています。海上保安庁においては、電子海図(ENC)の刊行が不十分な加盟国を支援することとしており、平成23年9月から約4か月間、IHO、英国海洋情報部等とともに、世界各国の研修員に対し、海図作製等に関する研修を実施しました。これにより、海図作製、海図の電子化及び最新維持の技術を伝授し、ENC刊行の促進を図りました。
また、平成24年1月には、IHO地域委員会の一つである東アジア水路委員会の調整会議を沖縄で開催し、域内のENCの重なりや空白の解消、人材育成のあり方についての検討を行いました。
3 国際航路標識協会(IALA)における取組み
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▲第51回IALA理事会 |
IALAは、航路標識の改善、船舶交通の安全等を図ることを目的とした国際的な組織であり、現在74の国と地域が加盟しています。海上保安庁は、IALAの理事に選任されており、IALAの運営に貢献しているほか、航路標識分野における各種国際規格の策定作業に参加するなど、IALAでの国際活動に積極的に取り組んでいます。
4 コスパス・サーサット理事会における取組み
コスパス・サーサットシステムとは、人工衛星により中継された遭難信号から遭難船舶等の位置を迅速に検出するシステムです。このシステムは、日本を含むコスパス・サーサットの国際協定を締結した国々によって運営されています。平成23年10月には、カナダにおいて第47回理事会が開催されました。理事会には、海上保安庁が日本の代表として出席し、各国のシステムの運用状況等について報告を行いました。
5 アジア海賊対策地域協力協定・情報共有センター(ReCAAP-ISC)における取組み
ReCAAP(正式名称:アジアにおける海賊行為及び船舶の武装強盗との戦いに関する地域協力協定)は、アジアの海賊・海上武装強盗問題に有効に対処するための地域協力促進のための協定です。海上保安庁は、我が国のReCAAP海賊情報連絡窓口(フォーカルポイント)として、海賊事件に関する情報共有を行うとともに、同協定に基づくReCAAP-ISC(情報共有センター)へ職員1名を派遣し、ReCAAPによる海賊対策の取組みに積極的に貢献しています。