海上保安庁では、船舶の運航及びマリンレジャー等の沿岸海域における活動に伴う事故の減少並びに事故が発生した場合の救助率の向上を目指しています。
特に、船舶事故の約7割を占める小型船舶(プレジャーボート、漁船、遊漁船)の事故や、SUP(スタンドアップパドルボード)等のウォーターアクティビティのほか、遊泳中、釣り中などのマリンレジャー活動時の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。
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6 交通の安全を守る
CHAPTER III. ウォーターアクティビティ等の安全対策
海上保安庁では、船舶の運航及びマリンレジャー等の沿岸海域における活動に伴う事故の減少並びに事故が発生した場合の救助率の向上を目指しています。 特に、船舶事故の約7割を占める小型船舶(プレジャーボート、漁船、遊漁船)の事故や、SUP(スタンドアップパドルボード)等のウォーターアクティビティのほか、遊泳中、釣り中などのマリンレジャー活動時の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。 1 海難防止活動
事故の多くは事故者の不注意により発生しており、これらの事故を防止するためには、船舶操縦者やマリンレジャー愛好者の安全意識の向上を図ることが重要です。 このため、海上保安庁では、国の関係機関や民間関係団体と連携し、漁港やマリーナ等における訪船指導や海難防止講習会の開催、安全啓発リーフレットの配布による啓発活動のほか、ウォーターアクティビティごとの事故防止のための情報をウォーターセーフティガイドとして策定し、総合安全情報サイトとして情報発信等を行っています。 また、酒酔い操縦や危険操縦の禁止、適切な見張りの実施などの小型船舶操縦者が遵守すべき事項に違反することは、重大な事故につながりかねないことから、違反者に対する調査や是正指導を行っています。 さらに、海上保安庁による活動のみならず、船舶操縦者やマリンレジャー愛好者の自主的な啓発活動の輪を広げることが更に効果的であるため、海上安全指導員や、地域のライフセーバー等の民間ボランティアと連携して、地域に密着した安全活動を展開しています。 海上安全教室 訪船指導 安全啓発リーフレット 海の事故ゼロキャンペーンのポスター ウォーターセーフティガイド開設!〜安全で安心なウォーターアクティビティのために〜
小型船舶の事故は船舶事故全体の約7割を占めていることから、小型船舶の安全対策を重点的に推進する必要があります。 加えて近年、カヌー、SUP、ミニボート等のウォーターアクティビティが盛んになってきており、海上活動が多様化・活発化してきています。 これらのアクティビティは、その手軽さから、海に関する知識が不足したまま海に出て行き、事故に遭うケースが見受けられます。平成30年8月26日にはフライボードによる初の死亡事故も発生していることなどから、それらの活動に合わせた効果的な安全対策が求められています。 海上保安庁では、平成29年度から国の関係機関や民間の関係団体と連携し、意見交換会の開催を通じてアクティビティごとに安全に安心して楽しむための注意事項を抽出し、合意・推奨されたものをウォーターセーフティガイドとしてインターネット上で公表しています。平成30年度は、「水上オートバイ編」、「カヌー編」、「SUP編」、「ミニボート編」、「遊泳編」を策定しました。 また、多様化・活発化する海上活動への対応は、国のみならず民間による安全対策の推進も重要であることから、海上保安庁では、民間関係団体等との共催により、水上安全をテーマとした会議JBWSS(日本水上安全・安全運航サミット)を開催し、舟艇及び水上安全等に関わる官民の団体に対し、情報の発信と共有、団体間の効果的な連携、協調を促進し、更なる水難の防止、安全対策の向上を図っています。 さらに、多くの利用者の安全意識を効果的・効率的に高揚させるため、これまでの取組みにより築かれた官民のネットワークを活用し、官民連携により積極的にウォーターセーフティガイドの周知・啓発を行うこととしています。 ウォーターセーフティガイドトップページ 総合安全情報サイトトップ 意見交換会の様子 フライボード(出展:HYDROFLIGHT JAPAN) 日本水上安全・安全運航サミット 2 「海の安全情報」の提供
海上保安庁では、海難を防止することを目的として、プレジャーボートや漁船等の操縦者、海水浴や釣り等のマリンレジャー愛好者の方々に対して、全国各地の灯台等で観測した風向、風速、波高等の局地的な気象・海象の現況、気象庁が発表する気象警報・注意報、ミサイル発射や避難勧告等に関する緊急情報、海上工事や海上行事等の状況に関する海上安全情報、海上模様が把握できるライブカメラ映像等を「海の安全情報」として提供しています。 「海の安全情報」は、パソコンやスマートフォン等で利用することができ、特に、スマートフォン用サイトでは、GPSの位置情報により、現在地周辺の気象・海象の現況、緊急情報等を地図画面上に表示することで、簡単に必要な情報を利用することができます。 また、気象・海象の現況、気象警報・注意報、緊急情報を事前に登録されたメールアドレスに電子メールにて配信するサービスを提供しています。 さらには、「海の安全情報」をより多くの方々へ届けるため、情報提供手段の多様化の一環として、平成31年度からLアラート*への配信を開始しています。 *災害時における迅速かつ効率的な情報伝達を目的として、国や地方公共団体等が発する災害情報等を多様なメディアに一斉配信するための、一般財団法人マルチメディア振興センターが運営する共通基盤システム。 ウォーターセーフティガイドの充実強化
アクティビティごとに必要とされる安全情報(推奨される装備品や必要なスキル等)をまとめたウォーターセーフティガイドについては、今後も内容の充実強化を図るとともに、「釣り」など他分野についても策定していくこととしてます。 安全対策を推進する官民連携ネットワークの強化
ウォーターセーフティガイドの意見交換会や日本水上安全・安全運航サミット(JBWSS)等を通じ、関係機関・民間団体等との関係構築を進め、多様化するアクティビティの安全対策を総合的に推進するため、安全対策を推進する官民連携ネットワークの強化を図ります。 新たな海上安全指導員制度*の構築
小型船舶の安全対策の一つとして、米国等の安全対策の取組み等を参考に、高い技術や知識等を持ち、海上保安官に代わって活動できる者を育成する新たな海上安全指導員制度を構築するとともに、シーカヤック等の新しい分野の指導員についての検討を進めます。 *民間ボランティアによるプレジャーボートの安全活動を積極的に援助・育成するために海上保安庁が発足した制度で、約1,600人の指導員が全国で活動しています。 安全対策の重点化
過去の海難の発生頻度や死傷者の発生状況などの視点から分析を行い、船舶事故(アクシデント)に重点を置いたターゲットを定め、安全対策を講じていくこととしています。 海上安全指導員が船舶に 安全対策の重点ターゲット
第4次交通ビジョンでは、新たな課題への取組みのひとつとして「安全対策の重点化」が掲げられています。重点化に関する具体的な検討では、過去の海難発生実績を基に、特に発生隻数(頻度)、死傷事故発生数(リスク)等に着目した課題の洗い出しを行い、①プレジャーボートの運航不能(機関故障)、②ミニボートの浸水・転覆、③漁船、遊魚船の衝突の3つを平成31年度の安全対策の重点ターゲットとして決定しました。海上保安庁では、これらの取組みも踏まえつつ、引き続き、効果的かつ効率的な安全対策を推進していきます。 |