肝移植へ0歳児空輸「ちゅらわし」で1,600キロ
第十一管区海上保安本部那覇航空基地
那覇航空基地は、平成30年5月9日、重篤な肝不全により肝移植が必要と診断された0歳5ヶ月の男児を沖縄県から1,600キロ離れた東京都まで搬送しました。 男児の搬送先は、東京都世田谷区にある「国立成育医療研究センター」で、同センターは小児救急医療等に高度な技術を有する小児救命救急センターの認定施設です。
男児が入院していた「沖縄県立南部医療センター・こども医療センター」において様々な搬送方法が検討されたものの、対応を依頼した民間航空各社等からは「対応困難」と回答があったとのことでした。そこで、平成30年5月7日午後0時5分、沖縄県知事から第十一管区海上保安本部に対して正式に空輸要請があり、那覇航空基地所属の航空機「ファルコン900(ちゅらわし)」にて那覇航空基地から羽田航空基地まで男児を搬送し、東京消防庁の救急隊に引き継ぐまでの支援を行うこととなりました。
体の小さな男児は、いつ容体が急変するかも分からず、搬送には十分な注意が必要であったことから、搬送を翌日に控えた5月8日、那覇航空基地において医師1名及び看護師2名と救急救命士の資格を持つ機動救難士が、男児に負担が掛からない航空機への搬入・搬出方法及び航空機内における医療機器の適切な配置等、細部まで徹底した議論を重ねました。さらに、当日使用する特製担架(男児と医療器具を乗せることができる小型担架)を用いて、機体の階段を登れるか、機内において担架の方向転換ができるか現場で確認と検証を行いました。
そして搬送当日の5月9日午前10時23分、男児を乗せた「ちゅらわし」は医師及び看護師同乗のうえ、1,600キロ離れた東京都へ向けて那覇航空基地を飛び立ちました。
およそ2時間30分のフライトを経て到着した羽田航空基地では、「ちゅらわし」からの男児搬出支援のため、情報提供を受けた特殊救難隊が万全の受け入れ態勢を整えて待機していました。着陸後は速やかに東京消防庁の救急隊に男児を引継ぎ、今回の男児搬送支援は無事終了となりました。
今回、複数の機関及び部署が連携して救命のバトンリレーを円滑に行えたことは、綿密な計画や周到な事前準備だけでなく、救助に携わった全員に小さな命を救いたいという熱い思いがあったからです。
今後も訓練等を通して当庁内のみならず医療機関及び救助機関とも連携を深め、様々な事案に対応していきます。