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CHAPTER I. 海難救助の現況
(1)人の救助
①海浜事故
平成30年のマリンレジャー(遊泳中、釣り中等)に関する海浜事故の事故者は858人であり、このうち、自力救助を含め616人が救助されました。
一方、マリンレジャー以外(岸壁からの海中転落、自殺等)の海浜事故の事故者は892人であり、自殺を除いた448人のうち、自力救助を含め200人が救助されました。
②船舶乗船中の事故
平成30年の船舶事故(船舶の衝突、乗揚、転覆等)に伴う乗船中の事故(負傷、海中転落等)者は556人であり、自力救助を含め481人が救助されました。
一方、船舶事故以外の乗船中の事故(負傷、海中転落、病気等)者は876人であり、自殺を除いた851人のうち、自力救助を含め672人が救助されました。
(2)船体の救助
平成30年の船舶事故隻数は、2,189隻であり、自力入港を含め1,942隻が救助されました。
海上保安庁では、巡視船艇延べ3,301隻、航空機延べ929機を出動させるなどして救助活動を行いました。
平成30年に海上保安庁が認知した事故4,815件のうち、緊急通報用電話番号「118番」による通報(第一報)を行った件数は1,866件であり、このうち1,216件が携帯電話からの通報でした。
青森県尻屋埼沖内航貨物船座礁事案
平成30年7月4日午後11時50分頃、貨物船から海上保安庁に対して「青森県尻屋埼沖で座礁した。救助願う。」との通報がありました。海上保安庁では巡視船を発動させるとともに、ヘリコプターによる吊り上げ救助を計画するも、天候が非常に悪くヘリコプターの現場進出は非常に困難でした。
また、現場に到着した巡視船により救助を試みるも、座礁現場の付近では終始高波が発生していたため、巡視船の搭載艇による救助ができない状況でした。
さらに、貨物船は傾斜しており、高波による動揺が激しく、上空では風速14m以上の風が吹き、ヘリコプターの姿勢が安定しない状況でした。
そのような中、函館航空基地所属のヘリコプターが機動救難士を搭乗させて飛び立ち、乗組員5名全員を迅速かつ的確に吊り上げ救助しました。
このように、海上保安庁では厳しい気象条件や現場状況においても、迅速かつ的確な救助活動が行えるよう、日々訓練を重ねています。
座礁した貨物船
救急車への引き継ぎ