COLUMN Vol.02
突然の大波……釣り人あわや〜「自己救命策3つの基本」が功を奏した救助劇〜 第五管区海上保安本部
突然の大波……釣り人あわや〜「自己救命策3つの基本」が功を奏した救助劇〜 第五管区海上保安本部
▲救助成功の瞬間 |
▲着用していたライフジャケット |
和歌山県串本町には、地元民謡串本節にも唄われ、かつては巡航船を使って人々が行き来していた紀伊大島があります。
今では本州から島まで橋が架かり、大勢の釣り人が島に押しかけています。春も半ばを過ぎた頃、天気は良いものの折からの強風で波は高い、そんな日のこの島でのできごとです。
大阪から島に訪れていた釣り人が、日出から樫野埼灯台の磯場を陣取り、釣りを始めて10分後のことでした。突然の大波が発生し、彼は成す術も無く一気に海中に転落してしまったのです。
しかし、日頃から海中転落への備えは万全で、ライフジャケットを着用していたため、沈むことなく浮上することができ、パニックが幾分収まった後、持っていた携帯電話で自ら海上保安庁の緊急通報用電話番号の「118番」へ通報しました。しかし、携帯電話は防水タイプであったものの、波浪により漏水し、通報が行えたのはこの一回きりでした。近くの岩場で釣りをしていた釣り人二人も、海面に浮かんでいる彼を発見し、直ちに「118番」で海上保安庁に釣り人転落の情報を伝え、救助要請をしました。
これらの通報を受けた第五管区海上保安本部は、串本海上保安署の巡視艇むろづきを出動させると同時に水難救済会等に救助協力を要請しました。海上模様は悪く救助は困難を極めましたが、漁船等の救助船4隻の協力により、海中転落から1時間37分後、釣り人は無事救助され、一件落着となりました。
今回の事例は、「ライフジャケットの常時着用」「防水パック入り携帯電話等の連絡手段の確保」「海のもしもは118番」が功を奏した救助劇でしたが、どれ一つ欠けても生還できなかったかもしれません。
「自己救命策3つの基本を忘れずに!」