Column Vol.04
教官!船が乗り揚がっています!
海上保安大学校
教官!船が乗り揚がっています!
海上保安大学校
世間がゴールデンウィーク中の令和4年5月1日正午すぎ、海上保安大学校当直学生から当直教官に対し慌てた声で報告がありました。
「教官!大学校の前で船が乗り揚がっています!」
海上保安大学校三ツ石寮前面海域には、通称「鵜(う)の糞(ふん)」と呼ばれる浅瀬が大麗女島から北東方向に伸びており、教官が大学校の前面海域を確認すると、ヨットがその浅瀬に乗り揚がり、大きく傾いていました。
ヨットは時間とともに傾きが増し、もはや一刻の猶予もなかったことから、呉海上保安部からの出動要請を受けた教官が学生4名を引き連れて、大学校の実習で使用する機動艇を直ちに出港させ、乗員の救助へと向かいました。
ヨットの周囲には浅瀬が点在しており、機動艇も乗り揚がるおそれがあったため、教官は機動艇の操船に集中し手を離せないという状況でした。そのような中で、当直学生4名は、教官の指揮のもと、ヨットに取り残された8名のうち、ヨット保船者3名を残し5名を機動艇に移乗させ、無事に救助を完了しました。その後も、当直学生等は、ヨットが満潮をむかえて自力で離礁するまでの間、ヨットを警戒監視し続けました。今回の事案は、事故発生時の第一報、機動艇の出港準備、ヨット乗組員を救助する際の介助及び声掛けなど、学生による自発的な行動が救助完遂に大きく貢献し、海上保安官に一歩、近づくことができた一件でした。
海上保安大学校では今後も、教育理念である「人格の陶冶とリーダーシップの涵養」、「高い教養と見識の修得」、「強靭な気力体力の錬成」を通じて、現場で即戦力として活躍できる幹部海上保安官を育成してまいります。
乗揚げの状況
救助中の様子
救助完了の様子