平成15年における船舶海難及び人身事故の発生と救助の状況について(確定値)

問い合わせ先

 警備救難部救難課
  課長補佐 下野 浩司 (人身事故担当)
   昼・夜間共通 03-3581-2828(内線5901)
 交通部企画課企画調査室
  主任企画調査官 青木 敏博(船舶海難担当)
   昼間 03-3591-6361(内線6202)
   夜間 03-3591-9807


平成16年3月5日
海上保安庁


平成15年における船舶海難及び人身事故の発生と救助の状況について(確定値)


このたび、「平成15年における船舶海難及び人身事故の発生と救助の状況」をまとめました。
本年1月13日に速報値を発表していますが、その後、詳細調査が完了しましたので、確定値として発表します。

※「船舶海難」とは、海上における船舶に衝突、乗揚、転覆、浸水、その他安全な運航が阻害された事態が生じた場合をいう。
※「人身事故」とは、船舶海難によらない乗船者の負傷、病気等の事故及び海浜等で発生した負傷、溺水、車両の海中転落等の事故をいう。

1.海難船舶隻数は2,733隻(一昨年に比べ40隻増加)、人身事故者数は2,765人(一昨年に比べ267人減少)、これらに伴う死亡・行方不明者数は1,519人(一昨年に比べ112人減少)

2. プレジャーボート及び漁船で船舶海難全体の4分3を占め一昨年に比べ共に増加(プレジャーボート867隻→961隻、漁船921隻→932隻)。これに伴う死亡・行方不明者数も共に増加
(プレジャーボート28人→31人、漁船82人→87人)

3.118番により通報(第1報)を受けたものは、船舶海難において全体の36%(997隻)、人身事故において18%(494人)このうち携帯電話を使用した通報は船舶海難では70%、人身事故では57%



Ⅰ 船舶海難発生・救助状況 →資料編

1.発生状況


海難船舶隻数は一昨年に比べ40隻増加

  • 平成15年の海難船舶隻数は40隻増の2,733隻(過去10年間の平均海難船舶隻数:2,524隻/年)
  • 漁船、遊漁船、プレジャーボートの船舶海難で全体の約7割
  • プレジャーボート(94隻増)、 漁船(11隻増) は増加しているものの遊漁船(35隻減)は減少

※「プレジャーボート」とは、スポーツ又はレクリエーションに用いられるヨット、モーターボート等の船舶の総称をいう。



船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は15人減少


  • 船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は15人減の150人
  • 漁船の船舶海難(5人増の87人)とプレジャーボートの船舶海難(3人増の31人)で死亡・行方不明者数が増加
  • 船舶海難種別では、転覆が3人増の52人、次いで、衝突が7人減の39人、行方不明が1人増の28人



船舶海難に伴う負傷者数は51人減少



  • 船舶海難に伴う負傷者数は51人減の308人
  • 漁船の船舶海難(5人増の129人)とプレジャーボートの船舶海難(3人増の112人)で負傷者数が増加したが、遊漁船の海難(41人減の33人)で減少

  • 船舶海難種別では、衝突が最も多く73人減の191人、次いで、乗揚が16人増の47人



プレジャーボートの船舶海難は増加。死亡・行方不明者数も増加

  • 一昨年に比べ94隻増の961隻。死亡・行方不明者数は、3人増の31人



漁船の船舶海難は増加。死亡・行方不明者数も増加



  • 一昨年に比べ11隻増の932隻。死亡・行方不明者数も5人増の87人



貨物船の船舶海難は減少。死亡・行方不明者数も減少



  • 一昨年に比べ4隻減の365隻。死亡・行方不明者数は27人減の15人



タンカーの船舶海難は減少。死亡・行方不明者数は増加

  • 一昨年に比べ24隻減の102隻。死亡・行方不明者数は3人増で4人



遊漁船の船舶海難は減少。死亡・行方不明者数は増加



  • 一昨年に比べ35隻減の90隻。死亡・行方不明者数は2人増で2人



旅客船の船舶海難は減少。死亡・行方不明者数も減少



  • 一昨年に比べ5隻減の59隻。死亡・行方不明者数は2人減の0人



1,000トン以上の船舶の海難の4分の3は、外国船舶



  • 海難船舶隻数全体に占める外国船舶の割合は約10%(264隻)で、一昨年の約9%(252隻) から1ポイントの増加。
  • 総トン数1,000トン以上で見ると、海難船舶隻数全体に占める外国船舶の割合は約73%(237隻中172隻)で、一昨年の約75%(248隻中188隻)から2ポイントの減少。



船舶海難原因の4分の3は、人為的要因



  • 漁船は、見張不十分を原因とする衝突が最も多く、次いで、1人乗り乗船者の海中転落や負傷等を原因とする運航阻害が多い。
  • プレジャーボートは、見張り不十分を原因とする衝突が最も多く、次いで、機関整備不良を原因とする機関故障が多い。
  • 外国船舶は、操船不適切及び見張不十分を原因とする衝突が多い。




2.救助状況

船舶の救助率は横ばい



  • 救助隻数は42隻減の1,439隻
  • 救助率は83.3%で、一昨年に比べ3.0ポイントの減少
    ※ 救助率(%)={救助された船舶/(海難船舶-自力入港した船舶)}×100



海難船舶の乗船者の救助率は高い値を維持

  • 海難船舶の乗船者の救助者数は760人減の4,457人
  • 救助率は96.7%で、一昨年に比べ0.2ポイントの減少
    ※ 救助率(%)={救助された乗船者/(海難船舶の乗船者-自力救助の乗船者)}×100



船舶海難の約36%を118番通報により情報入手



  • 118番により第一報を入手した海難船舶隻数は997隻(36%)で、一昨年より93隻の減少
  • 118番による通報では、当庁が1時間以内に情報を入手した割合が75%(118番以外による通報では54%)と高く、118番は海難情報の早期入手に有効に機能
  • 118番で通報を受けた中で、携帯電話を使用したものは997隻中698隻で70%





II 人身事故発生・救助状況 →資料編

1.発生状況



船舶からの海中転落による死亡・行方不明者数が減



  • 船舶海難によらない乗船者の人身事故者数は64人減の917人、このうち死亡・行方不明者数は3人減の296人であり、事故者の約4割が漁船乗船者
  • 船舶からの海中転落者数は13人減の191人で、このうち死亡・行方不明者数は2人減の136人。

  ※ 「船舶海難によらない乗船者の人身事故」とは、船舶海難以外の事由により発生した船舶の乗船者の事故をいう。
  ※ 事故内容を「海中転落」「負傷」「病気」「中毒」「自殺」「その他」に分けて集計



マリンレジャーに伴う海浜事故者数は、一昨年に比べ大幅減少



  • マリンレジャーに伴う海浜事故者数は223人減の740人で、一昨年に比べ大幅減少
  • 死亡・行方不明者数は73人減の260人
  • 特に遊泳中の事故者は111人減の238人、釣り中の事故者は74人減の225人で大幅に減少
  • 釣り中の事故者では、ライフジャケットを着用していた56人のうち43人(77%)が無事助かっている一方、ライフジャケットを着用していなかった169人のうち助かった者は88人(52%)

 ※ 「マリンレジャーに伴う海浜事故」とは、海浜等でマリンレジャー活動中に遭った事故をいう。
 ※ 事故内容を「遊泳中」「磯遊び中」「釣り中」「サーフィン中」「ボードセーリング中」「スキューバダイビング中」「ウェイクボード中」「その他」に分けて集計



マリンレジャーに伴わない海浜事故の事故者数は一昨年に比べ増加



  • マリンレジャーに伴わない海浜事故は20人増の1,108人で過去10年間で最多
  • 死亡・行方不明者数は21人減の813人

 ※ 「マリンレジャーに伴わない海浜事故」とは、海浜等でマリンレジャー以外の活動中に遭った事故をいう。
 ※ 事故内容を「岸壁等からの海中転落」「自殺」「その他」に分けて集計



2.救助状況



救助率は横ばい若しくは上昇



  • 船舶海難によらない乗船者の人身事故の救助者数は8人減の310人、救助率は1ポイント減の51%
  • マリンレジャーに伴う海浜事故の救助者数は117人減の437人、救助率は1ポイント増の63%
  • マリンレジャーに伴わない海浜事故の救助者数は36人増の237人、救助率は4ポイント増の23%



118番通報により情報を入手した割合が増加



  • 118番により第一報を入手した事故者数は494人(18%)で、一昨年に比べ35人の減少
  • 118番による通報では、当庁が1時間以内に情報を入手した割合が65%(118番以外による通報では47%)と高く、118番は事故情報の早期入手に有効に機能
  • 118番で通報を受けた中で、携帯電話を使用したものは494人中283人で57%