平成14年における海難及び人身事故の発生と救助の状況について(確定値)

問い合わせ先

 警備救難部 航行安全課
  課長補佐 近藤 悦広
   代表   03-3591-6361(内線 511)
   夜間直通 03-3591-2776
平成15年3月19日
海上保安庁


平成14年における海難及び人身事故の発生と救助の状況について(確定値)


このたび、「平成14年における海難及び人身事故の発生と救助の状況」をまとめました。
本年1月6日に速報値を発表していますが、その後、詳細調査が完了しましたので、確定値として発表します。

1.海難船舶隻数は2,693隻、人身事故者数は3,032人で、これらに伴う死亡・行方不明者数は1,631人


2.プレジャーボートの海難は減少(1,031隻→867隻)。これに伴う死亡・行方不明者数は増加(21人→28人)


3.118番により通報(第1報)を受けたものは、海難において全体の34%(904隻)、人身事故において17%(529人)。このうち携帯電話を使用した通報は海難では69%、人身事故では54%


I 海難発生・救助状況 →資料編

1.発生状況

海難船舶隻数は前年に比べ17隻減少



  • 平成14年の海難船舶隻数は17隻減の2,693隻(過去10年間の平均海難船舶隻数:2,507隻/年)
  • 漁船、遊漁船、プレジャーボートの海難で全体の約7割
  • 漁船(65隻増)は増加しているもののプレジャーボート(164隻減)は減少

※「海難船舶」とは、「要救助船舶」(救助を必要とする海難に遭遇した船舶をいう。)及び「不要救助船舶」(要救助以外の海難船舶をいう。)の合計をいう。
※「プレジャーボート」とは、スポーツ又はレクリエーションに用いられるヨット、モーターボート等の船舶の総称をいう。



海難に伴う死亡・行方不明者数は13人増加



  • 海難に伴う死亡・行方不明者数は13人増の165人
  • 漁船の海難(9人増の82人)とプレジャーボートの海難(7人増の28人)で、死亡・行方不明者数が増加
  • 海難種別では、転覆が15人増の49人、次いで、衝突が1人増の46人、行方不明が7人減の27人



海難に伴う負傷者数は28人減少



  • 海難に伴う負傷者数は28人減の359人
  • プレジャーボートの海難(48人減の109人)と漁船の海難(4人減の124人)で、負傷者数が減少したが、遊漁船の海難(39人増の74人)で増加
  • 海難種別では、衝突が最も多く28人減の264人、次いで、乗揚が3人増の31人


漁船の海難は増加。死亡・行方不明者数も増加



  • 前年に比べ65隻増の921隻。死亡・行方不明者数も9人増の82人

プレジャーボートの海難は減少。死亡・行方不明者数は増加



  • 前年に比べ164隻減の867隻。死亡・行方不明者数は、7人増の28人



貨物船の海難は増加



  • 前年に比べ35隻増の369隻。死亡・行方不明者数は1人減の42人



タンカーの海難は増加


  • 前年に比べ5隻増の126隻。死亡・行方不明者数は1人増で1人



遊漁船の海難は増加。死亡・行方不明者数はゼロ



  • 前年に比べ14隻増の125隻。死亡・行方不明者数は3人減で0人



旅客船の海難は増加



  • 前年に比べ15隻増の64隻。死亡・行方不明者数は1人増の2人



1,000トン以上の船舶の海難の4分の3は、外国船舶



  • 海難船舶隻数全体に占める外国船舶の割合は約9%(252隻)で、前年の約9%(261隻)と変わらず。
  • 総トン数1,000トン以上で見ると、海難船舶隻数全体に占める外国船舶の割合は約75%(248隻中185隻)で、前年の約72%(236隻中169隻)から3ポイントの増加



海難原因の4分の3は、人為的要因



  • 海難全体では、人為的要因によるものが4分の3を占める。
  • 漁船は、見張不十分による衝突が最も多く、次いで、1人乗り乗船者の海中転落や負傷等を原因とする運航阻害が多い。
  • プレジャーボートは、見張り不十分を原因とする衝突が最も多く、次いで、機関取扱不良を原因とする機関故障が多い。
  • 外国船舶は、操船不適切及び見張不十分を原因とする衝突が多い。


2.救助状況

船舶の救助率は横ばい



  • 救助隻数は56隻減の1,481隻
  • 救助率は86.3%で、前年に比べ0.2ポイントの減少
    ※ 救助率(%)={救助された船舶/(海難船舶-自力入港した船舶)}×100



海難船舶の乗船者の救助率は高い値を維持



  • 海難船舶の乗船者の救助者数は279人減の5,217人
  • 救助率は96.9%で、前年に比べ0.4ポイントの減少
    ※ 救助率(%)={救助された乗船者/(海難船舶の乗船者-自力救助の乗船者)}×100



海難情報の約34%を118番通報により入手



  • 118番により第一報を入手した海難船舶隻数は904隻(34%)で、前年より107隻の減少
  • 118番による通報では、当庁が1時間以内に情報を入手した割合が77%(118番以外による通報では56%)と高く、118番は海難情報の早期入手に有効に機能
  • 118番で通報を受けた中で、携帯電話を使用したものは904隻中627隻で69%



II 人身事故発生・救助状況 →資料編

1.発生状況

船舶からの海中転落による死亡・行方不明者数が減


  • 海難によらない乗船者の人身事故者数は20人増の981人、このうち死亡・行方不明者数 は13人減の299人であり、事故者及び死亡・行方不明者の約4割が漁船乗船者
  • 船舶からの海中転落者数は19人減の204人で、このうち死亡・行方不明者数は11人減の138人。

※ 「海難によらない乗船者の人身事故」とは、海難以外の事由により発生した船舶の乗船者の事故をいう。
※ 事故内容を「海中転落」「負傷」「病気」「中毒」「自殺」「その他」に分けて集計




マリンレジャーに伴う海浜事故者数は、過去10年間で最多



  • マリンレジャーに伴う海浜事故者数は55人増の963人で、過去10年間で最多 ・ 死亡・行方不明者数は16人増の333人
  • 特に遊泳中の事故者は74人増の349人で、大幅に増加
  • 釣り中の事故者では、ライフジャケットを着用していた69人のうち58人(84%)が無事助かっている一方、ライフジャケットを着用していなかった230人のうち助かった者は116人(50%)で、ライフジャケットの有効性は明らか。
    ※ 「マリンレジャーに伴う海浜事故」とは、海浜等でマリンレジャー活動中に遭った事故をいう。
    ※ 事故内容を「遊泳中」「磯遊び中」「釣り中」「サーフィン中」「ボードセーリング中」「スキューバダイビング中」「ウェイクボード中」「その他」に分けて集計



マリンレジャーに伴わない海浜事故の事故者数は大幅増



  • マリンレジャーに伴わない海浜事故は139人増の1,088人
  • 死亡・行方不明者数は88人増の834人
  • 特に自殺者は、81人増の672人で過去10年間で最多。うち死亡・行方不明者数は46人増の564人

※ 「マリンレジャーに伴わない海浜事故」とは、海浜等でマリンレジャー以外の活動中に遭った事故をいう。
※ 事故内容を「岸壁等からの海中転落」「自殺」「その他」に分けて集計




2.救助状況


救助率は横ばい若しくは上昇



  • 海難によらない乗船者の人身事故の救助者数は24人増の318人、救助率は3ポイント増の52%
  • マリンレジャーに伴う海浜事故の救助者数は30人増の554人、救助率は62%で変わらず
  • マリンレジャーに伴わない海浜事故の救助者数は34人増の201人、救助率は1ポイント増の19%




118番通報により情報を入手した事故者数が増加



  • 118番により第一報を入手した事故者数は529人(17%)で、前年より5人の増加
  • 118番による通報では、当庁が1時間以内に情報を入手した割合が69%(118番以外による通報では48%)と高く、118番は事故情報の早期入手に有効に機能
  • 118番で通報を受けた中で、携帯電話を使用したものは529人中286人で54%