情報通信課

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 情報通信課では、海上保安業務を行う上で必要不可欠な、情報通信システムの整備や管理を行っています。
 巡視船艇、航空機、海上保安本部等を全国に配置し、各地で業務を行っている海上保安庁では、普段の事務作業はもちろんのこと、領海警備、犯罪捜査、海難救助をはじめとする様々な海上保安業務において、情報通信システムの果たす役割はますます重要になっています。


学生募集

海上保安学校 情報システム課程

 海上保安学校情報システム課程は、将来、情報システムや通信機器の運用・管理と航路標識の設計・整備、管理、航行安全等の業務に従事する一般職員を採用する課程で、京都府舞鶴市にある海上保安学校において、2年間の在学中にこれら業務に必要な知識・技能の他、犯罪捜査等の知識も習得します。
 卒業後は、各管区海上保安本部管内において情報通信や海上交通業務に従事します。また、業務経験と選抜試験により、海上保安大学校での研修を経て、幹部へ登用される道も開かれています。
 情報システム課程の学生募集用リーフレットについては、以下のバナーをクリックしてご確認ください。


代表的な業務

  • 情報システム(当庁専用のサーバ、ネットワークなど)の整備及び管理
  • 通信施設(陸上、船艇の無線設備など)の整備及び管理
  • 映像伝送体制の整備
  • 遭難通信に対応する通信体制の整備(GMDSS)
  • 犯罪情報技術解析(デジタルフォレンジック)
  • 情報セキュリティ対策



具体的な業務の紹介

巡視船艇・航空機の活動を支える情報通信システム

 巡視船艇や航空機を駆使して、全国で活動する海上保安庁では、海上保安庁本庁から現場最前線の巡視船艇・航空機までを網羅する、通信施設や情報システムを整備しています。

 領海警備や海難救助など、刻一刻と変化する現場の状況に対して、的確な指示を出すためには、リアルタイムに情報を共有し、速やかに指揮命令を伝達できる情報通信体制が必要不可欠です。

 海上保安庁では、東京にある海上保安庁本庁、全国の管区海上保安本部、事務所や現場の巡視船艇・航空機を結ぶ当庁専用の情報システムを整備し、事件事故に対応するための指揮命令の伝達や情報の集約・共有、日常的な事務作業を行っています。

 また、全国に配備されている巡視船艇、航空機には、運航上必要な法定無線設備のほか、海上保安業務を行うための暗号化された専用無線設備が備えられており、24時間365日絶え間なく続けられる海上保安業務を支えています。

 巡視船や航空機の通信科職員、管区海上保安本部等の情報通信課の職員は、これらの情報通信システムを運用するとともに、機器が常時正常に作動するように整備を行っています。

領海警備、海難救助など様々な活動をおこなう巡視船艇には、様々な無線設備が搭載されている。
船舶通信卓 巡視船同士のみならず、自衛隊の艦艇や民間の船舶との無線通信も重要な業務。秘匿性の高い情報も取り扱う。
無線検査 無線設備が常時正常に作動するためには、日々のメンテナンスが必要。電波法等の法令に基づき、必要な機能を満たしているか等を確認するため、定期的に検査を受検している。
多重通信 マイクロ波多重通信装置の空中線を点検する海上保安官。全国を結ぶ通信施設を点検・維持し、海上保安業務を支える。
サーバ保守 サーバのメンテナンスをする海上保安官。海上保安業務の基盤となる情報システムは、海上保安庁の生命線とも言える。

映像伝送

 海上保安庁が行う領海警備や海難救助といった海上保安業務は、沿岸部に限らず、陸地から遠く離れた洋上で行われることも多くあります。常に変化し続ける現場の状況を指揮官自らがリアルタイムに把握することは、的確な判断を下す上では非常に重要です。

 そこで、海上保安庁では、このような領海警備や海難救助の現場の映像を的確に伝達できるよう、映像伝送体制を整備しています。

 現場の状況は、上空を飛行するヘリコプターにより撮影され、ヘリコプターテレビ画像伝送装置によって巡視船に送られます。巡視船からは衛星映像伝送システム装置により、人工衛星を経由して海上保安庁本庁や全国の管区海上保安本部のほか、首相官邸にも伝送することができ、政府が下す迅速・的確な判断に役立てられています。

 巡視船や航空機の通信科職員、管区海上保安本部等の情報通信課の職員は、ヘリコプターテレビ画像伝送装置や衛星映像伝送システム装置を用いた映像伝送体制を維持するため、機器の新規導入、定期的な保守・点検や訓練を行うとともに、事案発生時にはこれらの装置を操作して映像を伝送し、政府の迅速・的確な判断を支えています。

巡視船内で衛星映像伝送システム装置を操作する海上保安官。人工衛星を利用した通信は、常に変化し続ける現場の状況を伝える上で必須である。
巡視船に搭載している衛星映像伝送装置のアンテナを目視点検する海上保安官。時化の中を航海した後などは、筐体の破損や、海水が浸入していないかなどを念入りに確認し、不具合箇所を早期に発見する。

海難とGMDSS

 迅速かつ的確な海難救助を行うため、海上保安庁では万全な通信体制を整備しています。

 洋上を航行する船舶が遭難した場合、救いの手を差し伸べてくれる船舶が付近に必ずいるとは限りません。また、遭難した場所が陸地から遠く離れた洋上であれば、救助に向かう巡視船艇・航空機が現場に駆けつけるまでに、陸上の事故に比べて長い時間を要します。

 日本周辺の海上では、遭難した船舶が発する遭難信号は、無線や衛星通信により、付近を航行している巡視船艇・航空機や海上保安庁の本庁、管区海上保安本部に伝達されます。巡視船や航空機の通信科職員、海上保安庁本庁や管区海上保安本部運用司令センターの職員は、遭難信号を常時聴守しており、遭難情報に即応する体制を整えています。また、管区海上保安本部等の情報通信課の職員は、これらの通信体制を維持するため、日夜入念な整備を行っています。

 また、国際的な捜索救助体制等を検討する国際会議に情報通信関係職員が出席し、新たな捜索救助通信システムの導入等に向けた調整を行っています。

船舶からの遭難信号は、本庁や管区海上保安本部の運用司令センターに伝達され、巡視船艇・航空機に出動が指示される。
外洋を航海する船舶からの遭難信号を、人工衛星を経由して受信するアンテナ群。故障なく作動し続けなければならない重要な機器だ。
国際的な捜索救助体制を議論する国際会議。各国と連携した救助体制を確立するためには、国際会議への対応も必要である。

海上犯罪と犯罪情報技術解析

 海上犯罪を捜査する海上保安庁では、携帯電話やスマートフォン、船舶の航海計器に残された電磁的記録を解析する体制を整えています。

 海上犯罪の中には、携帯電話が連絡手段として用いられる犯罪や、現場の状況が船舶の航海計器の中に記録されている犯罪も多くあります。これらの機器に残された電磁的記録は、犯罪を客観的に証明するための重要な証拠となり得る場合があり、犯罪捜査の現場では、これらの情報を適切な方法により解析するデジタルフォレンジックが非常に重要になっています。

 海上保安庁本庁や管区海上保安本部の犯罪情報技術解析官は、実際の犯罪捜査の現場に出動して電磁的記録の解析を行うとともに、新たな機器を調査研究し解析技術を向上させ、犯罪捜査を支援しています。

携帯電話の解析作業を行う海上保安官。客観的な証拠に基づく捜査のため、携帯電話やパソコンを解析する犯罪情報技術解析は、益々重要になっている。




情報セキュリティ対策

 海上保安庁の情報システムは、海上保安庁が行う様々な業務に用いられており、様々な機密情報が取り扱われていますが、全国に張り巡らされた情報システムは、常に、外部からの攻撃を受ける可能性があります。また、外部から不正プログラムが入り込む危険性や、情報が持ち出される危険性もあります。
 海上保安庁では、これらの情報セキュリティ上のリスクに対応するため、職員に対する研修や監査、ネットワークの常時監視を行うとともに、外部からの攻撃や不正プログラムの侵入があった場合にはこれらへの対処を行っています。



特定秘密保護法への対応

 特定秘密保護法は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともにデジタル社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他必要な事項を定めることにより、その漏えいを防止し、我が国と国民の安全を確保することを目的として定められたものです。


 海上保安庁では、特定秘密保護法に基づき、特定秘密の適切な運用、管理を行っています。


(参考)
 〇 海上保安庁における特定秘密の保護に関する訓令

 〇 特定秘密保護法関連(内閣官房HP)