領海警備等の強化

◇能登半島沖不審船事案への対応

 日本周辺海域には、日本漁船に偽装し、あるいは夜陰に乗じて不審な行動をとる国籍不明の高速船が出没している。

 11年3月23日、能登半島沖の不審な漁船に関する情報を海上自衛隊から入手し、巡視船艇15隻、航空機12機により不審船2隻を追跡、停船命令を発したが、これを無視し逃走し続けたため、威嚇射撃を実施した。航続距離、速力の問題から巡視船艇による追跡が困難となり、海上自衛隊の海上警備行動が発動されたが、不審船を捕捉するには至らなかった。

 不審船事案への対応については、6月4日に関係閣僚会議において了承された「能登半島沖不審船事案における教訓・反省事項について」にあるように、警察機関たる海上保安庁が第一に対処し、海上保安庁では対処することが不可能若しくは著しく困難と認められる場合には、海上警備行動により自衛隊が対処することとなる。

 また、この内閣のとりまとめを踏まえ、情報の収集及び共有化、監視体制の強化、巡視船艇の能力の強化、防衛庁との連携強化等を逐次実施に移している。

◇尖閣諸島関係

 8年7月には、我が国の排他的経済水域の設定に伴う漁業活動への影響を不満とし、また、尖閣諸島北小島に日本の団体が灯台の用に供する構造物を設置したことに対する抗議として、台湾・香港等で「保釣活動」と呼ばれる領有権主張の活動が多くなり、同年、8月以降、台湾小型船が同諸島領海内に侵入する等の抗議活動が、これまで5回にわたり行われている。

 今後もこのような抗議活動は続くものと考えられ、事案に対しては、関係省庁と連携を図りつつ、不測の事態が生じないよう細心の注意を払いながら、警備及び救難活動を行っていくこととしている。

 また、同諸島周辺海域では、中国漁船、台湾漁船が多数操業しており、同諸島領海内において、不法操業を行い又は漂泊・徘徊等の不審な行動をとった場合には、巡視船により厳重に警告の上、領海外に退去させることとしている。

◇外国海洋調査船関係

 我が国周辺では、海洋開発に対する各国の関心の高まり等を背景として、外国による海洋調査活動が確認されており、特に、中国は、東シナ海等において、調査活動を頻繁に行っている。

 我が国は、排他的経済水域等において、外国が海洋調査等を行うことは我が国の同意がない限り認めないこととしているが、11年は、同海域における我が国の同意のない中国海洋調査船の調査活動について、過去最高となる延べ30隻を確認している。
 これらについては、規制する国内法がないこと等から、強制的な措置をとることができないが、現場海域において、中止要求等を行うとともに、関係省庁にも通報する等により対処していくこととしている。

◇竹島領土問題への対応

 我が国漁船の安全を確保するという見地から竹島周辺海域に常時、巡視船を配備し、監視及び被だ捕等の防止指導を行っている。