海上保安庁では、さまざまな業務を通じて得られた知識・技能を活かし、国際社会に貢献するため、これらの国際機関の取組に積極的に参画しています。
国際海事機関(IMO)での取組
現在174か国が正式加盟、3地域が準加盟(2020年9月時点)し、船舶の安全や船舶からの海洋汚染等海事諸問題に対応する国際連合の専門機関であるIMOにおいて、海上保安庁は、IMOの委員会である海上安全委員会(MSC)や、その下部組織である航行安全・無線通信・捜索救助小委員会(NCSR)及び海洋環境保護委員会(MEPC)、MEPCの下部組織である汚染防止・対応小委員会(PPR)に出席し、条約の改正や新たな航路の提案など、国際議論に貢献しています。
国際水路機関(IHO)での取組
IHOは、より安全で効率的な航海の実現のため、海図などの水路図誌の国際基準策定、水路測量技術の向上や各国水路当局の活動の協調を目的とし、1970年に設立された国際機関で、現在93か国が加盟しています。
海上保安庁は、同機関が設置する地域委員会である東アジア水路委員会(EAHC)に1971年設立当初から加盟しており、専門家の派遣などを通じて50年以上にわたりシーレーン沿岸国における水路測量や海図作製技術向上に貢献しています。
また、このほかIHOとユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)が共同で設置し、世界の海底地形名を標準化する「海底地形名小委員会」において、当庁海洋情報部技術・国際課海洋研究室長が副議長を務めるなど、同委員会へ貢献しています。
国際航路標識協会(IALA)での取組
IALAは、航路標識の改善、船舶交通の安全等を図ることを目的とした国際的な組織で、現在89の国、地域が加盟(2020年3月時点)しています。海上保安庁は理事国として1975年から同機関の運営や国際基準等の承認手続きに従事しており、また、IALAの常設技術委員会の一つであるENAV委員会議長に、当庁交通部企画課職員が2016年から就任する等国際的な航行安全の向上に貢献しています。
令和2年2月には、IALAの国際機関化に関する外交会合が開催され、IALAを国際機関化する条約(設立協定)が採択されたことから、IMOやIHOのような新たな国際機関が誕生することとなりました。
コスパス・サーサット計画での取組
コスパス・サーサット計画は、GMDSSの中核をなす人工衛星を用いた遭難通報システムを提供する国際的な枠組であり、国際協定を締結した45の国や地域が参加しています。
海上保安庁は、平成5年から日本の代表機関として人工衛星で中継された遭難信号の受信及び処理を行う地上設備を整備運用するとともに、世界で6箇所指定された情報交換の拠点である業務管理センターとして、北西太平洋地域(日本、中国、香港、韓国、台湾、ベトナム)で中心的な役割を果たしています。
アジア海賊対策地域協力協定・情報共有センター(ReCAAP-ISC)での取組
アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)とは、我が国の主導で締結されたアジアの海賊・海上武装強盗問題に有効に対処するための地域協力を促進するための協定です。
この協定に基づき、情報共有、協力体制構築のため、平成18年にシンガポールに情報共有センター(ISC)が設立されました。
海上保安庁では、ReCAAP-ISCに対して設立時より職員1名を派遣しており、海賊情報の収集・分析等を実施しておりいるほか、令和元年にはReCAAP全締約国とマレーシア・インドネシアの海上保安機関職員等を対象とした法執行能力向上のための研修「Capacity Building Executive Programme2019(於:シンガポール)」に協力するなど、アジア地域における海賊対策に係る各種取組に貢献しています。
北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)での取組
NOWPAPは、国際連合の機関である国連環境計画(UNEP)提唱のもと、閉鎖水域の海洋汚染の管理及び資源の管理を目的とした地域海計画(RSP)の一つで、北西太平洋地域4か国(日本、韓国、中国、ロシア)により採択されています。海上保安庁は、この計画における各種会合等に参加し、同地域の海洋汚染の防止及び海洋環境保全のための取り組みに積極的に関与・貢献しています。