海上保安庁は、令和3年10月25日(月)から約1か月間、開発途上諸国の海上保安機関職員に対し、救難・環境防災及び海賊対策を含む海上犯罪取締り能力の知識・技能の向上のための研修として、JICA課題別研修「救難・環境防災コース」及び「海上犯罪取締りコース」をオンラインにて実施しました。
JICA課題別研修は、日本政府による開発途上国支援を実現するため、国際協力機構(JICA)の事業として実施されている研修の一つで、日本側が研修内容を企画・計画し、開発途上国に提案するかたちで行われ、我が国が有する知識や経験を通じて途上国が抱える課題解決に資するよう、国内の多くの関係機関・団体が連携し、病院管理のノウハウ、地方自治制度、また、伝統的な農業技術から最先端の科学技術に至るまで、多岐に亘る分野をカバーしています。(JICAホームページから引用。)
海上保安庁では、救難・環境防災、海上犯罪取締り及び海図作成に関する研修を行っています。
「救難・環境防災コース」及び「海上犯罪取締りコース」では、例年、各国の研修生を日本に招聘し、海上保安庁職員等を講師として、各種講義や実習のほか施設見学等を実施していましたが、今年度は、新型コロナウイルスの影響により、昨年度に引き続きオンラインで研修を実施しました。
1 救難・環境防災コース 令和3年10月25日(月)~12月9日(木)
各国の海上保安機関等において主に海難救助、海上防災、環境保全等の業務に従事する職員を対象として、捜索救助手法、油防除に係る初動対応、現場指揮などの救難・環境防災に関する知識・技能を習得することを目的とした研修で、昭和57年度から昨年度までの間に、アジア諸国を中心に64か国2地域から562名の研修員(うち昨年度オンライン研修:7か国12名)を受け入れており、今年度のオンライン研修には、11か国から21名の研修員が参加しました。
オンラインによる開講式
海保職員による講義の様子
オンライン講義の様子 | 閉講式 |
<研修参加国>
アジア:インド、インドネシア(2名)、マレーシア(4名)、モルディブ(2名)、
フィリピン、スリランカ(2名)、ベトナム(1名)
アフリカ:ケニア(3名)、モーリシャス(1名)
中南米:ジャマイカ(2名)
大洋州:サモア(2名)
2 海上犯罪取締りコース 令和3年10月25日(月)~12月3日(金)
各国の海上保安機関等において主に犯罪取締り等の業務に従事する職員を対象として、国際法をはじめ、国際犯罪の取締り、鑑識捜査活動等に関する知識・技能を習得することを目的とした研修で、平成13年度から昨年までの間に、アジア諸国を中心に33か国1地域から342名の研修員(うち昨年度オンライン研修:12か国13名)を受け入れており、今年度のオンライン研修には、14か国から20名の研修員が参加しました。
海上警備に関する講義 | 鑑識に関する講義 |
オンラインによる制圧実技 | 閉講式 |
<研修参加国>
アジア:インドネシア、マレーシア(2名)、モルディブ(2名)、フィリピン(1名)、
スリランカ(2名)、東ティモール(1名)、ベトナム(1名)
アフリカ:ジブチ、ケニア(2名)、モザンビーク(1名)、ナイジェリア(3名)
中南米:ジャマイカ(1名)
大洋州:マーシャル(1名)、パラオ(1名)
研修では、各国の研修員から、自国が抱える海上保安分野の課題に関する活発な意見や質問があり、本研修に臨む積極的な姿勢が窺えました。
両コースの研修員には、今後、本研修で習得した知識・技能を通して、自国が抱える課題の改善、解決に取り組むとともに、それぞれの国の海上保安業務の発展に寄与することにより、本研修の成果を存分に発揮することを期待しています。
海上保安庁では、今後も、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、海上保安庁の豊富な経験と実績を活用し、外国海上保安機関への能力向上支援を行ってまいります。