マレーシア海上法令執行庁に対する鑑識技能維持オンライン研修の実施について

 10月26日から28日の3日間、初動犯罪捜査において鑑識技能の更なる向上が課題となっているマレーシア海上法令執行庁(MMEA)に対し、海上保安庁、マレーシア国民大学(UKM)及び国際協力機構(JICA)の連携の下、「鑑識技能維持研修(オンライン)」を実施しました。

 本研修には、MMEAの現場部署において鑑識捜査に従事する捜査員や巡視船艇において初動捜査に従事する職員が参加し、海上保安庁、MMEA鑑識指導者及びUKM教授等が、鑑識に関する基礎知識や基本技能を講義しました。

 研修では、MMEA鑑識指導官による写真撮影手法や指紋採取法等に関する講義のほか、MMEAにおける鑑識捜査事例の紹介が行われ、UKM教授からは、船内から薬物が発見された事案、強盗事案、銃撃事案等の具体的な事例を基に、証拠保全や解析手法の注意点について講義が行われました。

 また、当庁からは、犯罪に関連するレーダーや電子海図などの航海計器等の電子機器から、事件捜査に必要な情報を解析する手法等について講義を行ったほか、全国から集まる海上犯罪の証拠品の鑑定業務等を担う海上保安試験研究センターの業務紹介を行いました。

 このように、マレーシアと日本の双方が講師となり、それぞれの知識や経験を基に講義することにより、本研修の目的であるMMEA職員に対する鑑識技能の向上を図っただけでなく、活発な質疑応答、意見交換を通して、双方の鑑識業務に対する理解を深めることもできました。

 今回の研修は、新型コロナウイルスの影響もありオンラインだったことから、直接的な実技指導を行うことはできませんでしたが、オンラインの特性を活かすことにより、一度の講義で総勢70名のMMEA職員のほか、アジア諸国の海上保安機関からオブザーバー参加した方々にも研修を行うことができました。

 海上保安庁では、今後も諸外国の海上保安機関等と連携・協力し、共に海上保安分野の発展に努め、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指してまいります。


MMEAの講師陣海上保安庁の講師によるオンライン講義1海上保安庁の講師によるオンライン講義2