特集Web版 「科学の力で海を拓く」~大陸棚限界への挑戦~
平成13年、世界で初めてロシア連邦が大陸棚延長のための資料を国連の大陸棚限界委員会に提出しました。ロシアの申請に対する同委員会の勧告は、平成14年6月に行われましたが、その後、この勧告で大陸棚の延長が認めらなかったことや、その理由としてデータの不足が指摘されたという情報が伝えられはじめ、同委員会の厳しい審査の水準が次第に明らかになりました。
このような状況から、平成15年、海洋科学や国際法の専門家の助言も得て、大陸棚限界委員会の審査に対応するために必要な調査の内容について検討を行いました。その結果、政府全体の体制を強化して、さらに高度な調査を大規模に推進する必要性が強く認識されるようになりました。
その後の体制強化の動きはめざましく、平成15年12月には内閣官房に大陸棚調査対策室が設置されたほか、平成16年8月には、内閣官房副長官を議長とする「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議」が設置され、この会議において、調査の実施方針や申請に向けたスケジュールなどを定めた「大陸棚画定に向けた基本方針」が決まりました。
このように政府としての体制や方針が整備されたことによって、海域における調査が加速されただけでなく、大陸棚限界委員会に提出する資料の取りまとめや、同委員会における審査を我が国にとって好ましいものにするための国際環境作りなど、資料提出に向けて政府一体となった取り組みがスタートしました。
大規模な調査は海上保安庁、文部科学省、経済産業省がそれぞれ専門分野に応じて分担して実施することとなりました。海上保安庁は精密海底地形調査に加え、文部科学省と分担して地殻構造調査を担当しました。必要な調査は膨大なものであり、平成16年以降は大型測量船2隻を専従させたほか、民間の調査能力も活用して調査を進めました。