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平成13年2月27日
海上保安庁
平成12年における船舶海難と人身事故の発生と救助の状況について(確定値)
このたび、「平成12年における船舶海難と人身事故の発生と救助の状況」をまとめました。
本年1月5日に速報値を発表していますが、その後、詳細調査が完了しましたので、確定値として発表します。
海難船舶隻数は2,873隻、人身事故者数は2,784人で、これらに伴う死亡・行方不明者数は1,628人
Ⅰ 船舶海難発生・救助状況
1.発生状況
海難船舶隻数は前年に比べ13%増加し、9年ぶりに10%以上の増加
- 平成12年の海難船舶の隻数は339隻増の2,873隻(過去10年間の平均海難隻数:2,594隻/年)
- プレジャーボート等と漁船の海難で全体の約7割
- プレジャーボート等(239隻増)、漁船(81隻増)及び貨物船(29隻増)の増加が影響
※「海難船舶」とは、「要救助船舶」(救助を必要とする海難に遭遇した船舶をいう。)及び「不要救助船舶」(要救助以外の海難船舶をいう。)の合計をいう。
※「プレジャーボート等」とは、プレジャーボート(モーターボート、ヨット、手漕ぎボート、水上オートバイ)に遊漁船業に供用中の遊漁船、瀬渡船を加えたものをいう。
船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は増加
- 船舶海難に伴う死亡・行方不明者数は17人増の163人
- 漁船の海難(25人増の126人)とプレジャーボート等の海難(8人増の29人)で、死亡・行方不明者数が増加
- 一方、貨物船の海難の死亡・行方不明者数は16人減の2人
- 海難種別では、転覆が20人減の50人、次いで、衝突の3人増の34人
※第5龍寶丸→死亡・行方不明者14名、YISHENG 166→死亡・行方不明者10名
船舶海難に伴う負傷者数は増加
- 船舶海難に伴う負傷者数は111人増の446人
- プレジャーボート等の海難(78人増の222人)と漁船の海難(38人増の160人)で、負傷者数が増加
- 海難種別では、衝突が最も多く65人増の333人、次いで、乗揚が21人増の53人
※平成7年旅客船くろさきが岸壁に衝突、乗船者209人中163人が負傷
プレジャーボート等の海難が増加し過去最悪。死亡・行方不明者数も増加
- 前年に比べ239隻増の1,142隻で過去最悪。また、死亡・行方不明者数は、8人増の29人
- 一昨年5月20日に新設された五級小型船舶操縦士免許取得者の操船による海難は、5隻発生
漁船の海難が増加。死亡・行方不明者数も増加
- 前年に比べ81隻増の993隻。死亡・行方不明者数も25人増の126人
- 過去20年間減少傾向が続いていたが、平成10年以降増加
貨物船の海難が増加。死亡・行方不明者数は、減少し、過去最低
- 前年に比べ29隻増の367隻。死亡・行方不明者数は、16人減の2人、過去最低
旅客船の海難は減少。死亡・行方不明者数は4年続けてゼロ
- 前年に比べ16隻減の39隻。死亡・行方不明者数は、平成9年から4年続けてゼロ
1,000トン以上の船舶の海難の約7割は、外国船舶
- 海難船舶隻数全体に占める外国船舶の割合(台風及び異常気象下のものを除く。)は約9%(261隻)で、前年の約9%(213隻)と変わらず。
- 総トン数1,000トン以上(台風及び異常気象下のものを除く。)で見ると、海難船舶隻数全体に占める外国船舶の割合は約69%(260隻中179隻)で、前年の約65%(217隻中140隻)から4%増加
海難原因の約8割は、人為的要因
- 海難全体では、人為的要因によるものが約8割
- プレジャーボート等は、見張不十分を原因とする衝突海難が最も多く、次いで、機関取扱不良を原因とする機関故障が多い。
- 漁船は、見張不十分による衝突が多い。
- 外国船舶は、操船不適切及び見張不十分を原因とする衝突海難が多い。
2.救助状況
救助隻数が大幅に増加
- 救助隻数は244隻増の1,646隻
- 海難船舶の増加(339隻増の2,873隻)に伴い、救助隻数も大幅に増加
- 救助率は85.6%
※ 救助率(%)={救助された船舶/(海難船舶-自力入港した船舶)}×100
海難船舶の乗船者の救助者数も増加
- 海難船舶の乗船者の救助者数は595人増の5,912人
- 救助率は、97.3%
※ 救助率(%)={救助された乗船者/(海難船舶の乗船者-自力入港した船舶の乗船者)}×100
118番通報により、情報入手までの時間が短縮
- 平成12年5月1日に運用を開始した118番により第一報を入手した海難船舶隻数は665隻(31%)
- 118番による通報では、当庁が1時間未満に情報を入手した割合が78%(118番以外による通報では54%)
Ⅱ 人身事故発生・救助状況
1.発生状況
船舶海難によらない乗船者の人身事故は、漸減傾向から増加へ
※「船舶海難によらない乗船者の人身事故」とは、船舶海難以外の事由により発生した船舶の乗船者の事故をいう。
※ 事故内容を「海中転落」「負傷」「病気」「傷害」「中毒」「自殺」「その他」に分けて集計
- 船舶海難によらない乗船者の人身事故は12人増の841人
- 負傷(38人増の364人)の増加が影響
- 死亡・行方不明者数は18人減の301人で、最近10年間で最少
- 死亡・行方不明者数の約6割(168人)が海中転落によるもの。
海中転落者のうち救命胴衣を着用していなかった者は、漁船乗船者が133人中122人、プレジャーボート等の乗船者が44人中43人
マリンレジャーに伴う海浜事故は、最近10年間では2番目の事故者数
※「マリンレジャーに伴う海浜事故」とは、海浜等でマリンレジャー活動中に遭った事故をいう。
※ 事故内容を「遊泳中」「磯釣中」「サーフィン中」「ボードセーリング中」「スキューバダイビング中」「水上オートバイ中」「その他」に分けて集計
- マリンレジャーに伴う海浜事故は76人増の876人で、最近10年間では、猛暑のために事故者数が突出している平成6年(890人)に次ぐ数
- 特に遊泳中の事故者は62人増の347人で、大幅に増加
- 死亡・行方不明者数は9人減の339人
- 磯釣中では、救命胴衣を着用していた事故者46人のうち42人(91%)が無事助かっている一方、救命胴衣を着用していなかった事故者185人のうち助かった者は99人(54%)
マリンレジャー以外の海浜事故の事故者数は最近10年間で最多
※ 「マリンレジャー以外の海浜事故」とは、海浜等でマリンレジャー以外の活動中に遭った事故をいう。
※ 事故内容を「作業中」「自殺」「岸壁からの転落」「その他」に分けて集計・ マリンレジャー以外の海浜事故は71人増の1,067人で、最近10年間で最多
- 死亡・行方不明者数は37人増の825人で、最近10年間で最多
- 自殺者数は32人増の667人、うち死亡・行方不明者数は21人増の581人
2.救助状況
救助者数は、船舶海難によらない乗船者の人身事故、マリンレジャーに伴う海浜事故、マリンレジャー以外の海浜事故のいずれも増加
- 船舶海難によらない乗船者の人身事故の救助者数は2人増の294人
- マリンレジャーに伴う海浜事故の救助者数は89人増の457人
- マリンレジャー以外の海浜事故の救助者数は35人増の198人
118番通報により、情報入手までの時間が短縮
- 118番により第一報を入手した事故者数は368人(18%)
- 118番による通報では、当庁が1時間未満に情報を入手した割合が67%(118番以外による通報では50%)