2 海上交通法令と制度



(1)海上交通法令 

 我が国における船舶の交通ルールは3つの法律からなっています。基本法である海上衝突予防法と、海域の別による特別法である海上交通安全法、港則法です。

海上衝突予防法
 
1972年の海上における衝突の予防のための国際規則(国際条約)に準拠して、全ての船舶が守るべき航法の原則やこれに関連した灯火、信号等といった基本的なルールを定めています。



海上交通安全法、港則法
 海域は自然条件や利用状況に特殊性があるため、一般的な交通ルールである海上衝突予防法だけでは不十分な場合もあります。
 条約においても、国が一定の海域に特別のルールを定めることを認めており、海上交通安全法、港則法の2つの法律でカバーしています。

 船舶交通がふくそうしている東京湾、伊勢湾、瀬戸内海における特別の航法を定めたものが海上交通安全法です。航路を設定し、そこにおける特別の交通方法を定めるとともに、安全に航行させるための管制、危険防止のための規制等を規定しています。
 一方、港は広さが制限された海域で多数の船舶が出入りし、停泊や荷役を行うことから、特に入出港船が多い港における特別なルールを定めたものが港則法です。約500の港における、船舶の運航や係留に関する規制、危険物の荷役の規制等を規定しています。特に厳しい規制が必要な86の港を特定港とし、海上保安官の中から任命された港長が事務を処理しています。

  海上交通三法の概念図 海上衝突予防法(昭和52年)海上交通安全法(昭和47年)港則法(昭和23年)

  

(2)航路とは

 海上交通安全法においては、主要な港に通じる水路となっているとか、湾口部に位置するとか、代替の水路がない等の事情により船舶が集中するため、著しくふくそうした状態となっている11の海域に「航路」を設定しています。

 また、同法においては、50m以上の船舶に対する航路を航行する義務、それぞれの航路ごとに定められた特別の航法、巨大船(長さ200m以上の船舶)に対する海上保安庁への航路航行予定時刻を通報する義務などが規定されています。

海上交通安全法の航路