海上保安レポート2010
JAPAN COAST GUARD ANNUAL REPORT 2010
 
特集Web版 「科学の力で海を拓く」~大陸棚限界への挑戦~
 
2.(1)マルチビーム音響測深機の進歩

 大陸棚調査の中で、海底地形調査は最も重要なもので、マルチビーム音響測深機という機器を使用して行われました。マルチビーム音響測深機は測量船の船底に取り付けられ、同機器から海底面に向かって発振した複数の音波ビームが海底面から反射して戻ってくるまでの時間を計ることで水深の値を得ることができます。それまでの音響測深機(シングルビーム音響測深機)では、船の直下水深のみしか計測することはできませんでしたが、同機器を使用することで、広い範囲の水深を一度に測定することが可能となりました。マルチビーム音響測深機が開発された後も技術開発が進み、その性能は徐々に向上しています。昭和58年に測量船「拓洋」に搭載された最初のマルチビーム音響測深機は、海底へ向かう音波ビームの数はわずかに16本で、測深の幅は水深の80%弱でしたが、その後性能が向上し、平成19年に導入した最新の装置では、測深幅は2倍以上、音響ビームの数が288本となり、より精密な海底地形の把握が可能となりました。


 
 
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