特集Web版 「科学の力で海を拓く」~大陸棚限界への挑戦~
地球表面の7割を占める海は、古来、船による交易の場であり、また魚介類等の豊富な食料をもたらしてくれる場でもあり、人類にその大いなる恵みを与えてきました。
そして、科学技術の発達とともに、人類の活動する領域は沿岸からはるか沖合に及び、また、海洋から得る恵みも魚介類のみならず、石油・天然ガス、希少な金属類、メタンハイドレート等に及ぶようになりました。
その結果、世界各国は海洋資源の囲い込みに奔走することとなり、また、海洋の囲い込みをする国と自由な海を求める国との間の対立も生まれました。このように世界の至る所で海に関する紛争の種が生まれたことから、紛争を未然に防止するための新たな国際的ルールが必要になってきました。
そのルールとして昭和57年に定められたものが「海の憲法」と言われる国連海洋法条約です。国連海洋法条約では、200海里までの排他的経済水域など、新しい考え方が取り入れられており、海底の資源開発などについての権利が及ぶ海域として、大陸棚の範囲についても定めています。
海上保安庁では、この新たな国際的ルールに従って200海里を超える大陸棚を獲得すべく、25年間にわたって着々と大陸棚調査を進めてきました。そして、平成20年11月12日、膨大な調査成果に基づきとりまとめられた科学的資料が、大陸棚限界委員会に提出されました。
この特集では、この大陸棚調査への取り組みについて、長年の歴史を振り返って詳しくご紹介します。