TOPICS 海上保安の一年 (p.2〜13)

船艇を叩く潜水士

「根室沖さんま漁船衝突転覆海難」、「韓国漁船502シンプン号立入検査忌避事件」、「太平洋沿岸海域での衝突事故続発」、「海上環境事犯の徹底摘発」、「特殊救難隊発足30周年」など、海上保安レポート2005発刊以降に起こった事例を13件ピックアップして紹介しています。

特集1 国際展開する海上保安庁 (p.17〜42)

1.海をつなぐ連携 (p.18〜32)

北太平洋地域海上保安機関長官級会合

我が国周辺海域における海上テロの未然防止、国際組織犯罪の摘発など治安を維持し、海上交通の安全を確保することが我が国の安定した経済活動を支える上で極めて重要です。そのためには、海に接する周辺国の海上保安機関と治安、安全、救難、環境等の広い分野において連携・協力することが重要です。

海上保安庁は、開庁以来約60年もの長期にわたり、警備救難、水路及び灯台の各業務を三位一体として所掌し、海上における治安、安全、救難、環境等に関する屈指の機関として世界各国から認識されており、海上保安庁が有する知識・技能を東南アジア各国に伝え、東南アジア周辺海域の海上保安能力の向上を支援することが最重要課題と考えています。

4カ国共同捜索救助訓練「RESCUE SPIRIT MAIDURU 2005」

このような基本的な考え方に基づき、海上保安庁は国際的な取組みを戦略的かつ積極的に推進しており、ここでは、

  1. 多国間連携
  2. 二国間連携
  3. 東南アジア諸国における海上保安機関の設立支援・技術移転等
  4. 国際機関等での貢献

の4つの分野について各国海上保安機関等との連携・協力について紹介しています。

2.我が国の海洋権益の保全のために (p.33〜42)

近年、中国は我が国周辺海域における海洋調査や東シナ海におけるエネルギー開発などを活発に行い、この20年間に海洋の情報整備や調査研究などによって蓄積した情報は、既に我が国を凌駕しているとの指摘もあり、東シナ海の日中地理的中間線付近には、石油・天然ガス採掘用の海洋構築物を既に複数設置しています。

樫(中国名:天外天)ガス田

また、韓国や我が国も海洋施策を積極的に展開しているため、我が国周辺海域では、周辺各国の思惑が競合することも多く、海洋権益を保全することの重要性が強く認識されています。

このほかにも、第二次世界大戦末期や戦後の混乱期に生じた北方領土、竹島に係る領土問題、石油埋蔵の可能性から生じた尖閣諸島の領有権主張問題、また、最近では、中国が我が国の領土である沖ノ鳥島を岩であると主張する問題など、我が国の海洋権益を脅かす問題が山積しています。

ここでは、我が国の隣国、地域ごとに生じている海洋権益に関する問題を説明し、その保全のための海上保安庁の取組みを紹介しています。

特集2 刷新図る海保の勢力 (p.43〜51)

2,000トン型巡視船(ヘリ甲板付高速高機能)「あかいし」(PL 52)

昭和23年5月、海上保安庁発足当時の巡視船艇勢力は、旧海軍の生残り艦艇や雑役船など、小型老朽船約200隻で編成されていたため、各種業務で困難を伴うこともありました。

その後、高度経済成長期における海上輸送量の増大に伴う船舶の大型化、新海洋秩序形成による広域しょう戒体制構築の必要性、SAR条約に基づく広大な日本の捜索救助区域の設定、不審船への対応など、その時々の社会情勢、国際情勢による業務ニーズに応え、ヘリコプター搭載型巡視船、長距離ジェット飛行機など新たな勢力を整備しました。

そしてまた、時代の新たなニーズに応えるため、海保の勢力に変化が生じています。ここでは、不審船・工作船対策、尖閣諸島周辺海域の警備、巡視船艇・航空機の緊急整備、海上保安業務基盤システムの構築など、刷新を図りつつある海上保安庁の勢力について紹介しています。

本編 (p.59〜102)

治安の確保 (p.59〜66)

特集1で紹介した海洋権益の保全のための領海警備のほかに、密漁や密輸・密航などの様々な海上犯罪、テロの未然防止に対する海上保安庁の取組みについて紹介しています。

特殊救難隊

生命を救う (p.67〜73)

海上保安庁の迅速かつ的確な海難救助と、マリンレジャー事故防止のための取組みについて紹介しています。

青い海を護る (p.75〜81)

海底調査図

海上保安庁が青い海を護るために取り組んでいる海洋環境保全対策と海上環境事犯の摘発について紹介しています。

災害に備える (p.83〜89)

海上保安庁の事故災害対策や自然災害対策について紹介しています。

海を識る (p.91〜96)

灯浮標の交換

海上保安庁が実施する海洋の科学的調査や海洋情報の提供について紹介しています。

航海を支える (p.97〜102)

船舶交通の安全を確保するための航行支援を紹介しています。

海保のサポーター (p.103〜110)

海上保安庁の現場の仕事を応援してくれる団体、「海保のサポーター」の活躍を紹介し、海の安全や安心を支えている人々のネットワークに光を当てています。

海上保安官を目指す! (p.111〜117)

海上保安官を養成する教育機関である海上保安大学校及び海上保安学校などについて紹介しています。

海上保安学校卒業式