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第9章 海上保安に関する国際活動
T 国際機関等における国際活動

 1 国際海事機関(IMO)

 国際海事機関(IMO)は,主として海上における船舶の安全確保及び海洋環境の保護のための政府間協議・協力を促進することを目的とする国連専門機関であり,ロンドンに事務局が置かれている。
 海上保安庁は,海上安全委員会(MSC),海洋環境保護委員会(MEPC)の各委員会,無線通信捜索救助小委員会(COMSAR),航行安全小委員会(NAV),ばら積み液体及びガス小委員会(BLG)の各小委員会及びロンドン条約締約国協議会議(LC)等に専門家を出席させている。
 8年度には,SAR条約,SOLAS74条約及びOPRC条約の見直しに関する作業に参加した。

 2 国際水路機関(IHO)

 国際水路機関(IHO)は,航海の安全のために各国の水路関係機関の活動の協調を図り,水路図誌の統一,水路技術の向上等を目的とする国際機関であり,モナコにその事務局たる国際水路局(IHB)が置かれている。
 海上保安庁は,国際海図の刊行,世界航行警報業務等の活動や電子海図の表示システム,データベースに関する委員会等に専門家を出席させている。
 9年4月には,モナコで開催された第15回国際水路会議に出席し,海図の著作権,21世紀におけるIHOの役割等に関する討議に参加した。

 3 コスパス・サーサット(COSPAS−SARSAT)

 コスパス・サーサットは,捜索及び救助のために打ち上げられた人工衛星(コスパス衛星及びサーサット衛星)を用いたシステムを運用するために設置された国際機関であり,ロンドンに事務局が置かれている。
 我が国は,システムの地上部分の提供国となっており,海上保安庁は,新技術の導入等に的確に対応するため,コスパス・サーサット理事会(CSC)及び合同委員会(JC)に専門家を出席させている。

 4 国際航路標識協会(IALA)

 国際航路標識協会(IALA)は,パリ郊外に事務所が置かれ,航路標識・海上交通管理業務の向上,調和等により船舶交通の安全の確保と経済的かつ迅速な運行を促進することを目的とする国際的な機関であり,IMO,IHO等の他の海事関係国際機関と密接な連携を保ちつつ,航路標識に関する情報・資料の交換,航路標識システムの標準化等を行うとともに,加盟国等の技術向上等を図っている。

 海上保安庁は,50年から同協会の理事を務め,協会の運営に参画するとともに,運用委員会,エンジニアリング委員会,電波航法委員会及びVTS委員会に専門家を出席させ,技術先進国として航路標識分野における技術の向上に関する協力を行っている。

 5 政府間海洋学委員会(IOC)

 政府間海洋学委員会(IOC)は,国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の中に設けられており,加盟国の共同活動を通じて海洋の自然現象及び資源に関する知識の増進を図るため,各種の国際的な海洋調査・研究,海洋汚染監視,海洋資料交換,教育・訓練及び相互援助等の事業を行っている。
 海上保安庁の日本海洋データセンターでは,我が国におけるIOC刊行物・文書保管センター業務を実施するとともに,IOCの依頼により,西太平洋海域共同調査(WESTPAC)実施海域内の各国海洋関係機関の職員を対象に,海洋データ管理研修を57年度から毎年実施している。 

 6 その他

 (1) 国連麻薬委員会(CND)及び国連薬物統制計画(UNDCP)

 国連経済社会理事会の機能委員会の1つで麻薬等の国際統制に関する意思決定の中心機関であるCND及び薬物関係国際条約の適正な実施を確保し国際薬物統制における指導的役割を担っているUNDCPにおいて,薬物対策に関する国際協力促進のための方策が検討されてきている。

 海上保安庁は,従来から海上における薬物の不正取引の防止におけるCND,UNDCPの活動に積極的に協力しており,8年9月にはUNDCPクロアチア薬物対策調査ミッションへ専門家を派遣した。

 (2) 国際天文学連合(IAU)

 国際天文学連合(IAU)は,各国天体暦の仕様をはじめとする天文活動に関する方針等を決定する国際的な機関であり,パリに事務局が置かれている。
 海上保安庁は,国際的な協調の下に天文観測を行い,「天体位置表」を刊行しているが,天体暦の精度向上に資するため,56年度からIAUの要請により,星食国際中央局(ILOC)業務をグリニッジ天文台から引き継ぎ,また,4年度から星食観測の予報提供業務を米国海軍天文台から引き継いで実施している。
 8年度は,29箇国から送られてきた約8,500件の星食観測の記録を解析・処理して標準化したデータにまとめ,IAU及び各国の観測機関等へ報告した。

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