V 海洋情報の管理・提供 地球表面の約7割を占める海洋は,その構造や膨大な資源等の多くが未知のものであり,この海洋を解明することは人間生活の向上に重要なことである。
特に,近年の目覚ましい科学技術の発達に伴う,海底鉱物資源の開発,海洋空間の利用等の多様な分野で海洋の開発利用が増加しているのに加えて,国民の余暇の増大に伴う海洋性レクリエーションの普及が急速に進展してきている。このような状況下,安全な各種海洋活動,海洋の解明等に不可欠な水温,海流,海底地形等の海洋データ等に対する需要が急増している。
一方,海洋データは,その取得に多大な費用と時間を必要とするものであることから,単に一次的な利用に終わらせず,これらを一元的に収集・管理し,使いやすい形態で提供する等の二次・三次利用を促進することが必要である。
1
日本海洋デ−タセンタ−の運営及び情報提供
海上保安庁は,政府間海洋学委員会(IOC)の決議及び海洋科学技術審議会(海洋開発審議会の前身)の答申を受けて、昭和40年に日本海洋データセンター(JODC)の前身である海洋資料センターを設立した。
日本海洋データセンターは,国内的には我が国の海洋調査機関等から得られた海洋データの一元的な管理を行う「総合的海洋データバンク」であり,国際的にはIOCの推進する「国際海洋データ・情報交換システム(IODE)における我が国の代表機関」及びIOCの国際的なプロジェクトであるWESTPAC等で収集された海洋データの管理に責任を持つ「責任国立海洋データセンター(RNODC)」である。
これらの機能をいかして,国内的にも国際的にも,海洋に関するデータ・情報の収集,管理,提供業務を実施することにより,海洋データの二次・三次利用を積極的に推進している。
日本海洋データセンターでは,8年度末現在,海洋調査計画,海洋調査報告等7種類の情報項目及び海流,潮汐,水深等23種類のデータ項目についての海洋データ・情報を収集しており,これらを提供することにより,多様化する海洋の開発利用及び地球環境問題の解明等に貢献している。
また、7年度からは、国際間の迅速なデータ流通を図るため、インターネットを利用したオンラインシステムを導入した。
一方,これまで蓄積された膨大な海洋情報の有効利用を促進することを目的として海洋情報をデータベース化し,本庁と管区海上保安本部をコンピュータ・ネットワークで結合した海洋データ高度利用システムの運用を行っている。
2 国内における情報提供
海上保安庁では,海洋関係機関が保有する海洋データ及び海洋関係の各種文献,図面の所在を調査し,海域毎にデータベース化することにより,必要とする情報の検索を可能とした所在情報管理システムの運用を引き続き行うとともに,情報の最新維持を進めていくこととしている。 |