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第5章 海洋環境保全
 1 海洋汚染の発生確認の状況等

 (1) 8年の現状

 8年に我が国周辺海域において海上保安庁が確認した海洋汚染の発生件数は754件であり,過去最少を記録した6年に次いで2番目に少ない件数となった。
 8年に確認した海洋汚染の態様は,次のとおりである。
  油による汚染は370件で,全体の49%を占めている。海域別については第2-5-2図のとおりである。
 排出源は,船舶からのものが大半を占め,排出源不明のものも,発見場所や浮流状態から見て,そのほとんどが船舶からのものであると推定される。
 また,船舶からの排出と確認された299件の原因は,故意及び取扱不注意といった人為的なものが半数以上である。
  油以外のものによる汚染は294件で,全体の39%を占めている。その内訳は,廃棄物196件,有害液体物質74件,工場排水等24件となっており,その原因のほとんどが故意によるものである。
  赤潮は90件で全体の12%を占めており,本州南岸,伊勢湾,瀬戸内海(大阪湾を除く。)及び本州東岸において多く確認されている。

 (2) 廃棄物の海洋への排出状況等

 海上保安庁では,海洋汚染防止法に基づき,廃棄物の排出に常用される船舶の登録等を行っているほか,一定の有害液体物質の事前処理の確認並びに廃棄物の排出,油等の焼却及び船舶等の廃棄に関する計画について確認を行っている。
  8年末現在,廃棄物排出船の登録隻数は964隻で,これらにより8年中に海域に排出された廃棄物の量は約4,460万トンであった。
  有害液体物質(注1)のうち,特に有害度の高いA類物質等については,その排出に当たり実施する事前処理(注2)が一定の基準に適合することについて,海上保安庁長官又は海上保安庁長官の指定した者(指定確認機関)の確認を受けなければならないことになっている。
 8年におけるA類物質等の事前処理の確認は,16物質,延べ661件であった。


注1 有害液体物質
 油以外の液体物質のうち,海洋環境の保全の見地から有害である物質として政令で定める物質であって船舶によりばら積みの液体貨物として輸送されるもの及びこれを含む水バラスト,貨物艙の洗浄水等をいい,有害度に応じA類からD類までに4分類されている。
 現在, 次の549物質が有害液体物質となっている。
  A類物質: クレゾール,ナフタレン等60物質
  B類物質: アクリル酸メチル,クロロホルム等117物質
  C類物質: ベンゼン,硝酸等151物質
  D類物質: 塩酸,乳酸等221物質
  ※ なお,A類からD類までに分類される有害液体物質以外にも環境庁長官により,その有害度が

    A類からD類までのいずれかと同程度であると査定される物質がある。
注2 A類物質等の事前処理
 A類物質等を揚荷した貨物艙の洗浄水中の残留濃度が一定値以下になるまで貨物艙を洗浄し,又は一定の洗浄機を用いて一定のサイクル数以上作動させて貨物艙を洗浄した後,当該洗浄水を陸揚げすること。

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