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U 海洋レジャー事故の発生状況とその原因及び救助状況

 1 プレジャーボート等の海難発生状況と原因及び救助状況

 8年の全要救助船舶は1,858隻で7,825人が海難に遭遇し,このうちプレジャーボート等の海難隻数は673隻で1,898人が海難に遭遇した。また,全要救助船舶の死傷者及び行方不明者(以下「死傷者等」という。)は586人で,このうちプレジャーボート等に係る死傷者等は194人となっている。
 なお,年変動が大きい台風及び異常気象下の海難を除くと8年は649隻であり,その状況は次のとおりとなっている。

 (1) 船型別発生状況

 船型別に見ると,モーターボートが最も多く,次いでヨット,遊漁船,水上オートバイ,手漕ぎボートの順となっている。

 (2) 海難種類別発生状況

 海難種類別にみると,機関故障が最も多く,次いで衝突,転覆,推進器障害となっている。
 また,船型別に海難種類をみると,第2−3−2図のとおりであり,最も海難隻数の多いモーターボートでは,機関故障が最も多く,次いで衝突,推進器障害となっている。

 (3) 海難発生原因

 海難原因別にみると,見張り不十分,機関取扱不良,操船不適切,気象・海象不注意等の人為的要因に起因するものが78%(プレジャーボート等以外69%)を占めている。
 次に,プレジャーボート等の海難のうち,主要な海難種類別の原因をみると,第2−3−4図のとおりであり,最も多い機関故障については,機関整備不良,機関取扱不注意の順となっている。
 以上のように,プレジャーボート等の海難の原因を分析してみると,機関取扱不良,気象・海象不注意及び見張り不十分などの運航のための初歩的な知識・技能の不足や不注意に起因する海難が大半を占めている。

 (4) プレジャーボート等の救助状況

 8年は,要救助船舶となったプレジャーボート等673隻のうち自力入港の73隻を除き528隻が救助され,救助率(自力入港を除く要救助船舶隻数に対する救助された隻数の割合)は88%(7年87%)であった。
 海上保安庁では,これらの事例に対し巡視船艇延べ620隻,航空機延べ92機及び特殊救難隊員延べ21人を出動させ,プレジャーボート等199隻を救助した。また,海上保安庁が救助した船舶以外の船舶についても,巡視船艇・航空機による捜索,救助手配等を行っており,直接救助した船舶と合わせると438隻のプレジャーボート(要救助船舶であるプレジャーボート等全体の65%(7年73%))に対して救助活動を行った。

 2 海洋レジャーに係る海浜事故の発生状況と原因及び救助状況

 8年の海洋レジャーに係る海浜事故の事故者数は,760人(7年634人)で,このうち337人(7年310人)が死亡・行方不明となっており,その主な事故原因としては,気象・海象に対する不注意,知識・技能の不足,無謀行為等が挙げられる。
 レジャー種類別ごとの海浜事故等の発生状況と原因及びその救助の状況は,次の通りである。

 (1) スキューバ・ダイビング

 事故者数は52人(7年30人)で,このうち31人(7年17人)が死亡・行方不明となっている。事故の形態は,潮流等に流されて漂流した事例が多く,その原因は,基本的な潜水技能の不足,健康状態の不良,気象・海象に対する注意不足が多い。

 (2) ボードセーリング

 事故者数は53人(7年43人)で,このうち2人(7年2人)が死亡・行方不明となっている。事故の形態は,強風等により沖合に流され自力で戻れなくなり漂流した事例が大多数を占めており,その原因は,風向・風速の変化に対応できないといった技能不足,気象・海象に対する注意不足が多い。

 (3) サーフィン

 事故者数は81人(7年32人)で,このうち14人(7年8人)が死亡・行方不明となっている。事故の形態は,潮流等により沖合に流され自力で戻れなくなり漂流した事例や高波にのまれてボードが流出したために溺れたという事例が多く,その原因は,気象・海象に対する注意不足又は無視,技能・泳力の不足が多い。

 (4) いそ釣り

 事故者数は,180人(7年154人)で,このうち98人(7年84人)が死亡・行方不明となっている。事故の形態は,岸壁や岩場から釣りをしていたところ,誤って転落・転倒したり,波に引き込まれた事例や瀬渡し船で磯場に渡っていそ釣りをしていたところ,天候の急変により戻れなくなって,磯場に孤立したという事例が多い。その原因は,注意報等の気象情報の入手あるいは把握の不十分,天候の変化に対する判断の誤り,磯場といった特殊な地形に対する注意不足が多い。

 (5) 遊泳

 事故者数は242人(7年231人)で,このうち140人(7年142人)が死亡・行方不明となっている。事故の形態は,高波にのまれたり,深みにはまり溺れた事例や潮流等により沖合に流され自力で戻れなくなり漂流した事例が多い。その原因は,泳力不足や遊泳禁止海域での遊泳,波浪注意報発令海域での遊泳,酒を飲んでの遊泳等の無謀行為が多い。

 (6) 海洋レジャーに係る海浜事故の救助状況

 8年は,海洋レジャーに係る海浜事故者数760人のうち自力救助の67人を除き 356人が救助され救助率は51%(7年48%)であった。
 海上保安庁ではこれらの事例に対し,巡視船艇延べ 443隻,航空機延べ 171機及び特殊救難隊員延べ49人を出動させ事故者89人を救助した。さらに捜索・救助の手配等を行ったものを合わせると425人(全体の56%(7年53%)に対して救助活動を行った。

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