header_r.gif (2853 バイト)
W 研究開発

 海上保安庁は,海上における治安維持,海難救助,海上防災,航行安全,海洋情報の提供,海洋環境の保全等の幅広く専門的な分野において,その時々の経済社会,国際等の情勢変化に対応した業務を的確且つ迅速に遂行しなければならない。このような状況下において,その業務能率及び精度を向上させるための「開発研究」は欠かすことができない。
 このため,民間をはじめ,関係各機関等から新技術の導入を積極的に行っているが,業務の性格上,独自で研究開発を行わなければならないものも多く,海上保安試験研究センター等においてそれぞれの業務に関連した研究開発を行っている。
 また,近年の科学技術の急速な進歩から,新たな技術を伴う業務ニーズが生じてきたことにより,6年度から,本庁水路部に海洋研究室を設置している。
 8年度に行った主な研究開発は,次表のとおりである。

  研 究 名 概         要









砕氷機能を有する巡視船に関する調査研究  主機関等の最適設計に向けた技術の向上のため,プロペラ軸に軸トルク及びスラスト計測装置を設置し,砕氷航行時の軸出力計測手法の精度及び実用性を確立した。
厨房システムの合理化に関する調査研究  巡視船艇の司厨業務の効率化のため,新しい調理機器及び一般船舶等の現状を調査した。また,食堂と調理室を含めた新しいシステムの設計を行い,巡視船への適用の可否を検討した。
高速度巡視艇の加速度等に関する調査研究  高速度巡視艇に作用する加速度等を計測し,その解析結果に基づき,緩衝装置付き椅子の座面クッションの材質及び椅子の形状を改良したものを制作し,実船に搭載して緩衝効果を検討した。
電光表示盤の開発研究  災害発生時,不特定多数の者に対して無線通信以外の新たな通信手段としてLED(Light Emitting Diode)を使用し,巡視船艇に搭載可能な舶用の電光掲示板を開発し,昼間,薄暮,夜間の視認性について検証した。
充気式バージの開発研究  海難時の回収油の貯蔵・運搬のほか,物資の運送及びポンツーンとしての利用の適否について,床構造を架設した試作モデルによる洋上試験を行い,検証した。









海底地震発生ポテンシャル評価の研究  日本海東縁等の海域において,シービーム2000による海底変動調査,広域サイドスキャンソナーによる音響画像調査を実施した。また,音波を利用した海底地殻変動観測装置を開発している。
海底ケーブルを使ったプレート活動,海底火山活動システムの開発  光ファイバーに交換され運用停止された既設の同軸ケーブルにセンサーを接続し,海底におけるプレート活動や火山噴火活動を,リアルタイムでモニタリングするシステムの研究を実施した。
深層海洋における物質の拡散に関する研究  日本海の深層における汚染物質の拡散予測を行うために,海水循環モデルを用いた流動シミュレーションを行い,表層から深層までの四季別の平均的な流動を求めた。
地球・海洋観測衛星データ伝送・処理・解析の研究  衛星データを利用して海況を推定する手法を開発するため,日本近海における船舶観測による海上風と表層海流のデータセットを作成し,風と流れの相関解析を行った。
footer.gif (2246 バイト)