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V 海上紛争等の警備と警衛・警護

 1 海上紛争等の警備

 8年は,外国艦船の入出港に伴う警備,核物質の海上輸送に伴う警備,原子力発電所及び空港の建設に伴う紛争等に関連した警備,米軍基地問題に係る警備等合計709件を実施した。
 9年3月のむつ小川原港における第2回高レベル放射性廃棄物返還輸送及び9年5月からの沖縄普天間飛行場移設に伴う適地選定のためのキャンプシュワブ沖における現地調査に対する反対行動に見られるように,核物質の輸送,原子力発電所等のエネルギー関連施設の建設,米軍基地問題等に対する反対運動は,依然として活発に行われている。さらに,9年6,7月には革共同中核派が成田闘争等の一環として運輸省幹部宅爆破事件を引き起こすなど,過激な行動をとる集団による時限式発火装置等を使用したテロ・ゲリラ行為も依然として行われており,海上でのテロ・ゲリラの可能性も懸念される。
 このため,海上保安庁では,警備実施強化巡視船(警備実施体制の整備・強化を図るために特に指定した巡視船)を始め,巡視船艇・航空機による警備実施訓練・研修を行うなどにより,警備実施体制の強化を図り,公共の安全の確保と秩序の維持に努めている。

2 警衛・警護

 8年は,天皇皇后両陛下の第16回全国豊かな海づくり大会御臨席に伴う警衛を始め皇族に対する警衛65件,国内外要人に対する警護66件を実施した。
 また,9年4月の「SAIL OSAKA’97」帆船パレードに際しては,巡視船艇35隻,航空機2機を大阪湾及び関西国際空港周辺海域に投入するなどして,皇族を始め各国要人の安全を確保した。

3 特殊警備事案

 7年3月,東京都内におけるいわゆる地下鉄サリン事件発生以降,海上保安庁では海上におけるこの種の事犯の発生を防止するため,カーフェリー,旅客船への海上保安官の警乗,フェリーターミナル等の巡回警戒及び舷門の監視の強化等を行うとともに事業者による不審事象監視・速報体制強化の指導等を実施しているところである。
 海上保安庁では,シージャック,サリン等の有毒ガス使用事案等高度な知識及び技術を必要とする特殊な海上警備事案に迅速かつ的確に対処するため,大阪特殊警備基地を8年5月に設置した。同基地では,特殊警備隊が,前述の地下鉄サリン事件,8年12月の在ペルー日本国大使公邸占拠事件等を踏まえた潜水訓練,武道訓練,レンジャー訓練,ヘリコプターからの降下訓練等を実施し,24時間体制で海上における特殊警備事案の発生に備えている。

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